(写真=PIXTA)
今週の特徴:豪利下げ期待、米利上げ期待、日銀見送り
今週は豪ドルの下落が大きかった。28日発表の豪3QCPIが市場予想を下回り、11月RBA理事会での追加緩和期待が高まったほか、同じく28日の米FOMCで12月利上げの可能性が高まり、豪ドル/米ドルは0.72ドル台半ばから0.7068ドルへ2%程度下落した。
ドル/円とユーロ/ドルでは、週前半は前週末の中国金融緩和後のドル高の小反落がみられ、ドル/円は121円台半ばから120円台前半へ軟化、ユーロ/ドルは1.10ドル前後から1.11ドル手前まで強含みとなっていた。
もっとも、タカ派的な米FOMCを受けたドル高により、ドル/円は121円台を回復、ユーロ/ドルは1.0897ドルへ急落した。30日の日銀決定会合では追加緩和が見送られドル/円は120円台半ばへ一時的に下落したが、その後再び121円台を反発し底堅さを示した。
来週の見通し:雇用でドル高揚なるか
来週は、6日の米雇用統計と3日の豪RBA理事会が注目される。12月FOMCでの利上げ確率が再び焦点となる中、米雇用統計で市場予想通り雇用創出ペースと平均時給の増加ペースが加速するようだと、市場予想程度であってもドル下支え材料となりそうだ。とは言え、ドル/円は日銀追加緩和見送りもあってレンジ感が強まっており、122円前後のレンジ上限上抜けは難しそうだ。
他方、RBA理事会では、先週豪CPIが低下したことや鉄鉱石など豪州の主要輸出品の価格が下落基調にある中で、利下げ有無が焦点で現在市場では据え置きと0.25%利下げで見方が割れていることから、どちらの結果でも豪ドルは上下に振れそうだ。メインシナリオは据え置きで、その場合は豪ドルは買い戻されるが上昇基調への回帰はなさそうだ。
◆ドル/円
来週のドル/円は、6日の米雇用統計が注目される。10月FOMC結果を受けて次回12月の利上げ確率が再び焦点となる中、米雇用統計でこのところ軟調となっていた非農業部門雇用者数が市場予想通り+18.0万人へ雇用創出ペースが加速したり、平均時給も市場予想通り前年比+2.2%から+2.3%へ上昇ペースが加速するようだと、市場予想程度であっても12月利上げ確率が高まったと捉えられ、ドル下支え材料となりそうだ。
日銀は30日の会合で追加緩和を見送ったが、11月16日発表の本邦3QGDPがマイナスで技術的景気後退に陥った場合に、直後となる18-19日予定の次回会合で追加緩和に踏み切るとの期待も残っているとみられ、ドル/円の下値は限定的なままとなりそうだ。
なお、米国では3日にISM製造業景況指数の発表が予定されている。製造業は世界的に鈍化傾向だが、今回は景気拡大・後退の分かれ目とされる50.0へ鈍化する予想となっており、僅かでも割り込むと米利上げ期待が後退しドル上値抑制要因となるリスクがある(ISMの分析によればGDPとの関連では43.1が分岐点)。
◆ユーロ
ユーロ/ドルは、来週はユーロ圏関連材料が4日のドラギ総裁発言以外になく少ないため、米ドル相場の動向に振られる展開となりそうだ。3日のISM製造業の下振れが下支え要因となりえるが、6日の米雇用統計の改善の方がインパクトは大きく、市場予想程度の改善であってもドル高が強まりやすく、ユーロ/ドルは再び1.09ドル割れを試す展開となりそうだ。
◆豪ドル
豪ドル/米ドルは、米雇用統計やコモディティ価格もさることながら、3日のRBA理事会が焦点となる。先週豪CPIが低下したことから利下げ期待が急速に高まっている。現在市場では2.00%での据え置きと0.25%利下げで見方が割れていることから、どちらの結果でも豪ドルは上下に振れそうだ。
メインシナリオは据え置きで、その場合は豪ドルは買い戻されるがコモディティ価格の下落基調が続く中で利下げ期待は残ることから上値は限定的となりそうだ。他方、利下げで緩和バイアスが維持されるようだと、0.70ドル方向へ続落となりそうだ。
(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)
山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券
シニア・ストラテジスト
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