下期業績の下方修正見通しが2万円回復を阻む

今回の決算発表では、円安効果を享受した輸出企業を中心に、上期業績については従来予想よりも「上振れ着地」となる企業が多いとみる。ただ、外部環境の不透明感から上期が「上振れ」しても通期業績見通しについては「据え置き」とする企業が多いとみられ、実質的には下期が「下方修正」となる企業が相次ぐ公算が大きいだろう。相場は業績モメンタムの影響を受けるため、上期の業績がいくら良くても、下期の業績モメンタムが下方向であれば、株価の上値は抑えられる可能性が高いといえ、今回の決算により日経平均の中期的な2万円回復への期待は萎むことになりそうだ。


今月は内需関連株を推奨

こうした投資環境の下、11月の投資戦略としては、輸出関連株よりも内需関連株を選好する動きを推奨したい。世界の景気減速の影響を受けやすい輸出関連株の業績モメンタムは下方向である一方、その影響を受けづらい内需関連株の業績モメンタムは回復傾向にあることが主な理由だ。個別では事業環境が絶好調なテンプHD <2181> などの人材関連、マイナンバーなど企業のIT投資活発化の恩恵を享受するOBC <4733> 、SCSK <9719> を始めとしたIT関連、海外需要の掘り起こしなどで成長期待が高まっている味の素 <2802> やカルビー <2229> などに注目したい。

一方、輸出関連株の中にも、圧倒的な製品競争力を武器に世界の景気減速の影響を跳ね除け、業績拡大を図る企業もある。画像処理センサーで世界ダントツのシェアを誇るソニー <6758> やスマホ高機能化、自動車電装化の流れが追い風となる村田製作所 <6981> などは、今回の中間決算でも好業績が確認されており、中期的なスタンスで注目したい銘柄だ。

石黒英之(いしぐろ・ひでゆき)
専門商社勤務を経て2004年に岡三証券に入社。入社後は渋谷支店で個人営業に従事。2006年岡三経済研究所経済調査部(現:岡三証券 グローバル金融調査部)を経て、2008年岡三証券投資戦略部日本株情報グループに配属。2010年日本株情報グループ長(現:日本株式戦略グループ長)となる。

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