(写真=PIXTA)
20代~30代の若者から「将来、年金はもらえるのだろうか?」と老後に不安を抱く声をよく耳にする。老後は年金に頼らず自分で準備しなければという思いはあるものの、30年以上先を見据えて貯蓄を始めるとなると気が遠く、何から始めて良いのかと戸惑う人が多い。
未婚の若者が考えるべきマネープランに必要なのは、まずライフプランを立て、次に貯蓄する方法を考える事である。貯蓄を1年でも若いうちからスタートすることで、将来の貯蓄が楽になることは確かである。
では、どのようにライフプランを立て、貯蓄額を決めていけばよいのだろうか。生命保険や医療保険の加入にも触れながら、マネープランの立て方を解説していきたい。
まずはライフプラン表を作成することから
ライフプランを立てるためにまず「ライフプラン表」、いわば人生の設計図を考えてみよう。
「ライフプラン表」とは例えば「32歳に結婚したい」「34歳で子供は1人欲しい」「車を10年ごとに買い換えたい」「36歳で2000万円のマイホームを購入したい」「転職してスキルアップしていきたい」「年に1度は海外旅行に行きたい」「老後は海の近くの一軒家でのんびり過ごしたい」など将来の実現したい夢や目標を時系列に並べて表にしたものである。その時々の年齢に何をやりたいのか、予算はいくら必要なのかを年表にすることで未来の設計図が作れる。
ライフプランが明確になることで、何年後までにいくら必要なのか、貯蓄の目標額が明確になる。例えば28歳男性が「36歳で2000万円のマイホームを購入。そのために頭金を200万円準備する」とライフプランを立てたとする。8年間で200万円を貯めるには、1カ月の貯金額はいくらになるだろう。200万円÷8年÷12ヶ月=2万833円となるので、1カ月あたり約2万1000円貯めていけば準備できる計算となる。実現したい夢が明確になり、目標とする貯蓄額が決まることで貯蓄に対するモチベーションがキープできるのだ。
貯蓄の目安
金融広報中央委員会が調査した2014年度「単身世帯調査」によると、年間手取り収入(臨時収入を含む)に対する貯蓄割合は、20代が19%、30代が18%となる。年収別では300万以上500万未満は17%、500万以上750万未満は19%となっている。
一人暮らしであれば手取りの2割、実家暮らしで大きく住居費がかからないのであれば4割は貯蓄しておきたいところであるが、生活スタイルの違いやライフプランによって必要な貯蓄額は人それぞれである。
いずれにせよ将来、結婚を考えているのであれば未婚のうちにしっかり貯めておくことで、結婚後の生活にも余裕ができる。また、貯蓄があれば気に入った物件が見つかったら、すぐに購入できるなど選択肢はかなり広がってくる。未婚の時期はお金を自由に使える時期ではあるが、大きなお金がかからない未婚の時期こそ人生の貯め時である。
投資を始めたほうがいいのか?
貯蓄額が決まったら、貯蓄方法をどうするかである。基本的な貯蓄方法としては「自動積立定期預金」や「財形貯蓄制度」「社内預金」などを利用して毎月お給料から先取りで貯蓄していく方法はオススメだ。毎月決まった額を貯めていくことで、預貯金がいくら増えているのかがわかり易く、確実に目標額を貯めることができる。
ただし、現在低金利なので利息はほとんどつかない。収支に余裕があるのであれば、少額からでも投資を始めるのもオススメだ。投資信託は毎月1万円からでも投資可能であり、仮に毎月1万円を金利0.02%の定期預金で10年間預けると1300円ほどの利息がしかつかないのに対し、投資信託で年利3%にて10年間運用すると利息は約22万円となる。年利の差は利息の差となって出てくるので、一部の余裕資金で投資を少額からでも始めてみてほしい。
生命保険・医療保険の加入のタイミング
就職したらすぐに保険に加入する人もいるが、結婚や子供が生まれたタイミングで加入するという人も少なくない。生命保険や医療保険については、加入する年齢によって保険料が異なり、若いほど病気にかかるリスクや死亡するリスクが低いという観点から保険料は安く設計されている。
生命保険については、未婚であれば親を扶養しているなどの特別な事情がないかぎり、死亡保障は必要ない。200万円ほど預貯金があれば生命保険に加入しなくても葬式代として家族に迷惑をかけない金額となる。
医療保険については、加入する際に健康状態を告知する必要があるため、40代になって健康診断で指摘を受けてから加入しようと思っても、健康上の観点から加入できない可能性があるので体調の変化がみられる年齢になる前に検討するのも良いだろう。
会社員なら高額の医療保険は不要
会社員であれば長期入院になった場合に、健康保険から傷病手当金(標準報酬日額の3分の2が最長1年半支払われる)が支給されるので、高額な入院給付金の医療保険への加入は不要。一方、個人事業主は国民健康保険に加入しており、会社員と違い傷病手当金の支給はない。入院して仕事を休むと収入が入らないので、入院給付金を収入の変わりになる様、若いうちから医療保険への加入を考える必要がある。
未婚であれば人によっては近い将来に結婚、出産、マイホーム購入、教育費と大きな出費が待ち構えている可能性がある。未婚である「今」が人生において一番の貯め時である事を念頭に置き、目標額に向かって貯蓄を始める事で、将来に対する漠然とした不安が軽減されることだろう。
今関 倫子 ファイナンシャル・プランナー (AFP)
外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナー(FP)を目指し、AFP(日本FP協会認定)資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談を受け、多くの経験を経て独立。個人マネー相談、執筆、マネーセミナーを中心に活動中。
FP Cafe
登録FP。