マーケットビュー

◆中国株 信用取引の証拠金率の引き上げやパリでのテロ事件から軟調なスタートか

本土市場では上海総合指数が1週間で0.3%安と小幅に反落しました。中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC、日本の金融庁に相当)がIPO申請のための資金凍結制度を撤廃したことから、週初はIPOによる需給悪化懸念が後退したことを好感して、上海総合指数は買い先行となり、約2カ月半ぶりに節目の3,600ポイントを回復しました。

その後、冴えない経済指標を受けた追加緩和期待による買いと利益確定売りが交錯するなか、10日から12日にかけては一進一退の展開となりました。ただ、12日夜に発表された中国の10月の新規銀行融資増加額と社会融資規模が9月から大幅に減少したことから、クレジット縮小懸念が出て週末13日に大きく下落し、上海総合指数は節目の3,600ポイントを割り込んで取引を終えました。

今週の上海総合指数は続落してのスタートとなりそうです。前週末に中国の証券取引所が信用取引での新規購入に関し必要な証拠金率を現在の50%を23日から100%に引き上げること発表したことから需給悪化が懸念されます。また、日本時間14日早朝に起きたパリ同時テロ事件も投資家心理の重石となり、リスクオフムードが強まりそうで、下値模索のような展開となる可能性もありそうです。

香港市場ではハンセン指数が1週間で2.1%安と反落しました。予想を上回る強い米雇用統計の発表を受けてFRBが今年12月に利上げを実施するとの観測が高まり、香港市場からの資金流出を懸念する売りが優勢となりました。また、中国の10月の主要経済指標を受けた中国経済の先行き不透明感が意識されたほか、原油先物相場の下落も投資家心理を悪化させました。

12日には一部企業の好決算や値ごろ感から大きく買い戻されたものの、週末は中国で新規銀行融資増加額と社会融資規模が9月から大幅に減少したことや、米国の12月利上げがFRB高官の発言で改めて意識されたことで、ハンセン指数が500ポイント近く下落し、12日の上げをほぼき出す格好となっています。

米国年内利上げ懸念が燻るなか、先週末の欧米株軟調な流れやパリでのテロ事件もあり、今週のハンセン指数も軟調なスタートとなりそうです。また、香港市場では16日に食品大手の華潤ビール控股(チャイナ・リソーシズ、0291)や康師傅控股(ティンイー、0322)などの決算発表が予定されています。

林宇川(TonyLin)
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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