(写真=PIXTA)
日本医師会は政府系ファンドと共同出資で電子カルテを普及させるための新会社を設立すると発表した。日医はIT企業などとも連携し、現時点では1000万円ほどかかる導入コストを半額程度にまで引き下げることで、2割程度しか浸透していない電子カルテを普及させようとしている。
こうした動きによって、どのような企業が恩恵を受けるのか。その代表的な7社をピックアップしてみる。
エムスリー——2012年に電子カルテのシステム開発会社を買収
エムスリー <2413>は、日本医師会が提供するコンピューターソフト「ORCA」に対応した電子カルテで高い販売実績があったシィ・エム・エスを2012年10月に買収、連結子会社化している。
このシィ・エム・エスの業績にあたる診療プラットフォームセグメントの売上は、2013年度の決算では29億1200万円から、2014年度の決算において28億1800万円へとわずかではあるが売上高が低下してしまっている。
しかしながら、利益額自体は2億8600万円から2億9000万円へと成長しており、より強い企業体質へと変化していると言える。この診療プラットフォームセグメントの売上は総売上の約55%となっており、この売上成長が企業全体の業績に与える影響は大きい。
日本医師会提供の「ORCA」に対応している同社が日本医師会主導の電子カルテ化の流れでうまく売り上げを伸ばすことができれば、利益の急速な改善が期待できるかもしれない。
ファインデックス——画像・文書ファイリングシステムをORCAと連携
ファインデックス <3649> も今後目が離せない銘柄の一つである。2015年2月1日から日本医師会が提供する標準のレセプトソフトORCAとの連携機能を持たせた画像・文書のファイリングシステム「Clacio BOX for ORCA」の販売を開始している。
この製品はもともと中小規模の病院向けのファイリングシステム「Clacio BOX」を日本医師会提供のレセプトソフトORCAに対応させたものだ。
一般的に、資金余力がある大規模な病院ほど高額な導入コストが必要な電子カルテを導入しやすく、それゆえに既に導入している可能性が高いこと。このため、中小規模の病院向けファイリングシステムをORCAと連携させた同社の製品は、今後日本医師会主導の電子カルテ普及の波に乗れるかもしれない。