(写真=PIXTA)
仲介手数料を無料または半額とする東京グランドネクスト株式会社。不動産店舗によくある「駅前の1階店舗」の立地には見向きもせず、外資系保険会社の手法を取り入れて業務の効率化を行う同社の代表取締役の小島 優一氏にお話を伺った。(提供: storie2015年10月27日掲載 )
共同出資により立ち上げた新会社
storie:会社を立ち上げられた経緯から教えてください。
小島氏:大学卒業後、外資系生命保険会社に就職いたしまして、その後、建物管理会社へ保険担当として入社いたしました。保険会社では生命保険の販売を担当していましたが、転職した不動産管理会社では火災保険と生命保険の2種類を扱うポジションに就きました。
この不動産管理会社では事業の拡大を目指しておりましたので、私と会社と共同出資で新たに売買仲介会社をスタートさせました。これが東京グランドネクストのはじまりです。
storie:御社と以前に小島社長が所属していた建物管理会社とのご関係は?
小島氏:当時、私は一棟ビル、マンションの売買と建物管理業務全般の業務を担当していましたので、その経験を活かして、私と当時所属していた不動産会社との共同出資で今の会社を立ち上げました。
storie:売買仲介を始めた当初から手数料を無料にしていたのでしょうか?
小島氏:はい、最初から仲介手数料の無料または半額の表示をしていました。通常、都内の中古不動産を購入する場合、仲介手数料は100万円以上かかることも多いので、当初は喜んでいただけると同時に驚かれているお客様も多かったですね。
以前は競合する業者がまだ少なかったですが、最近は比較的規模が大きい売買仲介会社も参入しており、他社と競合する場面が増えています。ただ、競合他社が増えていただいたおかげで、お客様の安心感もアップしていますのでそのメリットも感じています。
外資系会社のスタイルについて
storie:手数料を下げている分、厳しいコスト管理をしているのでしょうか?
小島氏:実はあまりコスト削減の意味での管理はしてはいないです。ただ、費用の支出の判断基準については日本の不動産会社とは違う取り組みができていると思います。
具体的には、費用が少しかかっても、インターネット広告の表示スペースはお客さんの目に入りやすい場所を確保することで、同業他社よりも高い問い合わせ率を維持しています。
また、プロジェクトごとに収益率を検証して投資額を増減しており、収益が見込めるプロジェクトには支出額を増やしていますので、結果として、他社が見たらびっくりするほど極端に支出先が偏っています
storie:そんな大胆な支出の割合にされるのは、躊躇はないのでしょうか。
小島氏:確かにバランスよく支出してもいいのですが、それ以上に収益が取れる分野への選択と集中を意識して決定をしています。
storie:外資系の営業についての考え方を教えてください。
小島氏:外資系の会社は効率重視やコストカットのイメージが強いですが、実はコアな価値観である『目の前のお客さまにとって一番何がいいかをとことん考える姿勢』を会社の仕組みとして従業員の全員に教育しています。
当社も一生の買い物のお手伝いをするのですから、「最高の条件で最もお客様のご希望に合った不動産を購入していただくために努力は惜しまない」ことを事務スタッフも含め徹底しています。
ただそのためには、営業スタッフは普段から不動産以外の勉強をしたり、よく遊びに出かけたり、家族との時間をもつことが実は大切だと思っています。仕事帰りに習い事に寄ったり、休日には友達と釣りに行ったり、連休を取って家族と旅行ばかり行く社員の方が、いわゆる『仕事人間』の社員よりいい。
プライベートが充実しているスタッフの方が、お客様のことを考えた提案ができるし、お客様にも安心していただけると思っています。
storie:不動産会社の営業の方が、仕事帰りに習い事は珍しい感じがしました。
小島氏:ええ、確かに案件が重なってしまうようなときは、営業スタッフは夜も遅くなったり、連続で休日が取れないこともあります。お客様の大切な資産を扱いますので、営業スタッフには絶対にミスのない仕事をしてもらわないといけないです。
そのようなハードな時期もあるので、社員には仕事とプライベートのバランスをとれる環境作りを会社として目指しています。