三田紀房氏
(写真=ZUU online編集部)

もし中学校に「投資部」が存在したら――。『ドラゴン桜』で知られる漫画家三田紀房氏が手掛ける『インベスターZ』はこんな設定を実現した物語である。超進学校にトップ合格した主人公の男子中学生が、3000億円を利回り8%で運用するという使命を負った「投資部」に所属し、学校の経営のために株式投資を始める。男子中学生の成長とともに、読者も投資について学べるというこれまでにない漫画である。

「漫画の題材選びも一種の『投資』だと思いますが、なぜ投資をテーマに選んだのですか?」。マネーフォワード主催の「お金のEXPO」では参加者から三田氏にこのような質問が投げられ、三田氏は投資を作品のテーマに選んだ理由を語った。もともと百貨店に勤務していた三田氏が30代で漫画家になった経緯や「お金」に対する考え方なども語られた。「人生はカネだ!」と題した講演から一部を紹介しよう。(以下、敬称略)


「掲載後1週間で原稿料」に衝撃

三田: 講演のタイトルで「人生はカネだ!」と言い切っているわけでありますが、私自身は非常にお金で苦労しています。大学を出て西武百貨店で1年ほど勤めた後、家業を手伝いました。ちょうど時代は80年代、急激に地方に大型店が進出したころです。実家は地方のいわゆる商店街、路面店ですので、大型店進出の影響をもろに受けました。僕が田舎に帰ったあたりからガタガタ業績が傾いた。8年ほどやったんですが、これ以上やっていると人生台無しにしてしまうと思いまして、漫画を描き始めました。マンガを投稿したら賞をいただいて、連載いただき、そこから店を閉めて漫画家になったという経緯であります。

僕は6年間、ほとんど現金収入ゼロというか暗黒の時代がありました。なので、漫画で賞をいただいたときに50万円をいただいて、すっごくうれしかった。その後、編集者に「なんでもいいから描いて持ってきて」と言われ、30ページほど書いて持っていったら編集長に「載せる」と連絡がありました。作品が雑誌に載って、1週間ぐらいで原稿料が振り込まれました。それに衝撃を受けました。「なんて素晴らしい商売なんだ」と。


お金を生み出す「夢のような世界」

僕はその時点で完全な第一次生産者になったわけです。それまで僕は人がつくったものを仕入れて店頭で売っていました。10万仕入れて10万以上で売れればもうけになりますが、どうしてもロスが出る。それが赤字になる。その商売が非常に非効率的だと思っていましたが、漫画家になると完全な第一次生産者です。ほんとに夢のような世界。つまり、漫画を描くことがお金を生み出すパワーがあるということに衝撃を受けたわけです。それで迷いなくこの世界にいこう、描いていこうと思った。

そのころから「漫画家」という職業はお金を稼いで僕の人生を支えてくれる大きなきっかけになった。僕は漫画を描くことでお金を稼ぐことができて、生活を経済的に安定させることができる。少しながら貯蓄もできるようになった。つまり僕の人生イコール漫画であり、イコールお金であるわけです。