なぜ投資漫画を描こうと思ったのか?

三田氏が一通り、漫画家になったきっかけを語ったところで来場者からの質問コーナーが設けられた。ある参加者は「どの作品を選ぶかが漫画家にとっては『投資』になると思うが、『インベスターZ』を描こう、このネタに『投資』をしようと思った理由を聞きたい。(アベノミクスによる株高で)現在、見方によっては『投資』は一段落してしまったタイミングかと思うのだが」と質問を投げかけた。

三田: きっかけはまず、ある私立学校へ取材へ行ったときに、私立の学校経営がものすごく厳しいんだと知ったことです。とにかく先生の給料払うので精一杯だという話を聞いて、学校経営というのはすごく厳しいんだということを知ったんですね。で、じゃあ学校をどうやって運営したらいいかと考えた時に、学校の創立者が資金を出す、それを運用し利回りを得る。利回りで経費を賄えば安定的な教育ができるんじゃないかと考え、編集部に提案したというのが一つの経緯です。

これね、自分で言うのもなんですけどこの漫画が「うまいとこついてるな」って思うのが、学校を舞台にしているところなんです。つまり投資を漫画にするとだいたい主人公は証券会社の営業マンかすごい借金を抱えて一発当ててやろうと考えている20歳のフリーターとかになるんですけど、なんかそういう、投資を完全に目的化する作品はほぼ100%失敗すると思いました。

「投資で当てよう」ということを目的化とした漫画を描くと非常に殺伐とした、刺々しい内容になる。当たったとか、外したとか、儲かったとか、損したとか。そういう話になると演出の部分でものすごい苦労する。こうしたマイナスポイントを全部排除するには、多少キャラクターに余裕を持たせて、投資の知識を得ながら成長していく話のほうが絶対成功確率は高くなると思った。そこで舞台は学校にして、主人公は中学1年の男の子にしました。

目標は明確に。小さい所を狙う

もう1点言えば、投資を題材にして成功したパターンがないということ。(成功すれば)そこで代表作になれる。漫画においてネタのフロントランナーになるというのはすごく大事で、そこを狙って投資の作品を成功させようというプロジェクトでみんなで動いているわけです。

最後になりますけども、みなさん人生の成功ってなんだろうと思われるかもしれないが、僕に限って言えば漫画で大きなヒットを飛ばすということです。自分の最大の目標です。みなさんいろんな立場で暮らしてらっしゃると思います。明確な目標をぜひ持ったらいい。これで成功したいとか、これで当てたいとか。意外とみなさんと話していると目標が漠然としている人が多い。だんだん人生短くなってきますので、もうちょっとピンポイントに狙って、自分の力を集中させるような人生の工夫をしたらいいと思う。僕は常に小さい所を狙うということをやっています。参考にしていただけたらと思います。

「投資」や「お金」に対して前向きな気持ちになれる。そんな講演だった。 (ZUU online 編集部)