vintage gramophone
(写真=PIXTA)

2014年8月、東京・渋谷にアナログレコード、CDの中古専門店「HMV record shop 渋谷」がオープンした。客層は30〜50代が中心だが、若い世代の来店が予想よりも多いという。日本でもアナログレコードのリリースが増えたことがデジタル世代の若者が興味を持つきっかけになっているようだ。


実は成長している? アナログレコード市場

あなたの家にアナログレコードはないだろうか? いま40代以上の方の中には「青春時代の思い出として実家の押し入れにしまっている」という人も多いかもしれない。アナログレコードと聞くと、一般的にはノスタルジックでレトロなイメージをもたれるだろうが、実はその人気はいま世界中で高まっており、若い世代へと拡がりを見せている。

国際レコード産業連盟(IFPI)が2015年4月に発表したデータによると、2014年の全世界でのアナログレコードの売上額は、前年比54.7%増の3億4680万ドル。またドイツの統計調査会社Statistaの調べによる2006年の売り上げは3400万ドルで、同じく2013年は2億1800万ドルに伸びているというから、いかにアナログレコード市場が大きくなっているかが分かる。

もちろんレコード全盛期の時代と比べれば、生産量や売上は数十分の一になっているのだが、それでも右肩下がりの減少が止まり、数字が反転したことには何らかの理由があると見ていいだろう。


ストリーミング全盛の時代になぜ?

好きな音楽の楽しみ方は人によってさまざまだ。その入手方法は、欧米を中心にストリーミングサービスが世界の主流となっている。CDやダウンロードサービスが根強い日本でも、ようやくストリーミングが定着してきた。そんな時代にあって、なぜ今アナログレコードは注目されているのだろうか。

アナログレコードブームの火付け役となったのは、2000年代後半のアメリカのインディーズミュージシャンだと言われている。彼らが新譜リリースをレコードで行ったことがきっかけとなり、アナログレコードブームは世界全体へと拡がった。

日本でも最近、サザンオールスターズや福山雅治、きゃりーぱみゅぱみゅといった人気アーティストたちがアナログレコードを発売している。また、インディーズレーベルのレコードリリースが増えていることから、ファン層となる若い世代が購入するケースが増加している。「アナログだから」「デジタルだから」という理由よりも、「好きなアーティストが出しているから」ということでレコードを購入している人たちも一定数はいるようだ。

またデザイン性の高い紙ジャケットがインテリアとしても重宝されている。LPは12インチのため縦横それぞれ約31センチと、部屋に飾るのにも手頃な大きさなのかもしれない。