英国ロンドン
(写真=PIXTA)

日本でお金の相談というとファイナンシャルプランナー、トラブルだと行政書士や弁護士を利用するのが主流だが、英国では相談の内容次第で、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)、銀行、弁護士を使い分けるのが一般的だ。


経済的な未来設計はFAと銀行に相談

「お金を増やす、貯める、使う」といった日常生活に関わる相談には、FAや銀行を利用する人が多い。かつては「我が国の辞書にはサービスという言葉はナシ」といった感の強かった英国も、金融危機以来、スーパーマーケットから大手銀行までサービス競争が激化している。そのため顧客獲得の手段として、マネージャーや専門スタッフによる30分~1時間程度の無料コンサルティングを、サービスのウリにしている銀行が多い。

口座を所有している銀行でコンサルティングを受ければ、コンピューターの設置された専用の個室で自分の財産状況を確認しながら、利率の見直しから各種ローン、保険、投資、老後や子供の就学に関する貯蓄まで、親切かつ丁寧に最適なアドバイスをしてくれる。全て無料で利用回数の限度なども設定されていないため、利用しない手はない--というわけだ。

管理する資産の額が大きい、またはもう少し細かく将来設計を立てたい場合は、FAを利用する。こちらは有料だけにエキスパート中のエキスパートが個人のニーズに焦点を絞って、様々な角度から各ポイントを分析し、幅広い提案を出してくれる。


法律がからむ相談は事務弁護士の出番

お金のトラブルや相続などに関しては、「Solicitor(事務弁護士)」に相談する。そもそも「行政書士」という肩書き自体が存在しない英国では、事務弁護士がそれに該当する法的業務を引き受けている。

こちらは日本同様、「最初の30分は無料」といったサービスを提供している事務所も見かけるが、基本的にはFAより割高となる。


「何でも相談センター」でもお金の相談

そのほかもっと気軽に利用できるサービスとして、市や慈善団体が運営している無料の「何でも相談センター」を利用する人も多い。こちらは主に事務弁護士の代用として人気が高い。

たいていはトレーニングを受けたボランティアのスタッフ(お金に関する相談はボランティアの元FAや事務弁護士が担当してくれる場合も多い)が相談にのってくれるが、専門的な知識が必要な場合は、該当するサービスを紹介してくれる。


情報に敏感な英国人 天候や話題をするようにお金の話

このように一重に「お金の相談」といっても、個人のニーズに合わせて選択できるシステムが英国では確立されている。その背景には、お金に関してシビアな国民性が色濃くでているのかもしれない。

日本では日常会話で気軽にお金の話をするといった場面は少ないが、英国では天候やフットボールの試合結果などのトピックから突然お金の話に飛ぶ--といったこともまったく珍しくはない。老若男女問わず「お金に関する情報」には敏感な人が多い。

そのためファイナンスを専門分野とする「セレブ・ジャーナリスト」が運営している「お金の相談サイト」やTV番組なども人気が高く、義務教育の時点から金融リテラシー(消費者のための金融教育)をカリキュラムに組み込むなど、お金に関する知識や見解と日常生活がピッタリ密接している印象を受ける。これぞ金融リテラシー発祥地ならではの特徴かもしれない。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター)

【関連記事】
・英国人は保険金好き?セレブ、宇宙飛行の保険を提供する「ロイズ」とは?
・投資家必見!IPO当選確率を上げる5つの方法
・日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
・1万円からトヨタやソフトバンクへの株式投資が可能?ミニ株取引とは
・「世界MBAランキング」国内1位 東大や京大、慶應ではなく新潟のあの大学