財政赤字,60年償還ルール
(写真=Thinkstock/Getty Images)

OECD(経済協力開発機構)によれば、2014年の日本の一般政府の財政赤字は7.1%となっている。ブルームバーグ調査によるマーケットコンセンサスは、15年6.5%、16年6.2%となっており、税収が大きく増加している割に14年からの改善幅が小さいように思われる。

日本の財政を見る時に、グローバル・スタンダートに順ずる形に変え、国際機関が発表している数字と整合的になるように調整すると、この問題が解決し、日本の財政収支が大きく改善していることがわかる。

日本の政府予算には、他の先進国と違い、債務を完全償還するための経費が計上されている。2015年度の政府予算の一般会計の歳出は96.3兆円となり、そのうち国債費が23.5兆円(24.3%)と大きい。この国債費の中には、10.1兆円の利払い費に加え、13.3兆円の債務償還費が含まれている。

日本には「60年償還ルール」という、新規に発行した国債は60年で完全償還するという日本独自のルールがあるため、政府は予算の歳出に国債償還費を計上している。

他の先進国では、国債の発行(国内で自国通貨で発行されるもの)は貨幣と同じようなもの(財政の負債の反対側に、民間の資産が発生する)とみなされ、原則として完全に償還されることはなく、継続的に借換されていく。

国債費の中には償還費は計上されず、国債費=利払費となっている。歳入の新規国債発行額は36.9兆円(38.3%)となっており、国債依存度が大きいと言われる。新規国債発行額をGDPで割ると7%程度となり、これを財政赤字と呼んでしまう慣行が日本にはあるようだ。

しかし、歳出に償還費を計上し、歳入でその分の新規国債発行額を計上するのはダブルカウンティングになってしまっている。グローバル・スタンダードに順ずる形での財政赤字は、新規国債発行額からこの償還費を引いた23.6兆円となるはずである。

OECDは償還費を含まないグローバル・スタンダードに順ずる形として、2014年の一般政府の財政赤字を7.1%としている。しかし、予算の歳出に償還費が含まれるというのが異常であることがあまり日本では認識されていないため、日本の財政赤字がコンセンサス調査では過大に見積もられてしまっている可能性がある。

2015年度のグローバルスタンダードに準じる形の財政赤字は、新規国債発行額から償還費を引いた23.6兆円をGDPで割り4.5%程度となり、14年度から大幅に改善しているはずである。実際には、税収が予算対比で上振れており、財政赤字はこれよりさらに改善している可能性もある。年と年度の違いはあるにせよ、15年の6.5%という財政赤字のコンセンサスは大きすぎるように思われる。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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