IFA原田茂行,スマホゲーム
(写真= 株主手帳/ IFA 原田茂行氏 記事=株主手帳2015年11月号掲載)


スマホゲーム

シルバーウィークに幕張メッセで開催された東京ゲームショウに今年も行ってきました。今年の入場者数は26万8446人と過去2番目を記録し、外国人の若者も多く見られ、会場内は熱気で溢れていました。(記事=株主手帳2015年11月号掲載)

中でも昨年以上に存在感を増していたのがスマホ向けゲームを展開する企業ブースで、これまで家庭用向けゲームを販売していた企業もダイナミックにスマホゲームへシフトを進め、海外からも、世界最大のスマホゲーム市場である日本を目指し、これまでで最多の246の企業、団体が参加しました。

ゲーム市場全体は2013年に1兆円を突破し現在も伸び続けていますが、そのうち家庭用ゲーム市場は7年連続で縮小、2014年には2007年のピークから約4割減少しています。今やゲーム市場の成長の原動力はスマホゲームとなり、スマートフォンは、国内で約7000万台普及している最も身近なゲームプラットフォームで約3000万人のユーザーを持っています。

しかし、今年に入ってからスマホゲーム専業の会社で業績を悪化させる会社が相次ぎ、株価は高値から軒並み下落、スマホゲームバブルの崩壊の様相を呈しています。

一方、個別企業で見てみると、家庭用ゲームメーカーからスマホに進出した、バンダイナムコホールディングスやコーエーテクモホールディングスなど、過去最高益を更新する企業も出てきています。ゲームの開発・運営力やIP(知的財産)タイトルを保有している会社が勝ち残っていき、逆にこの数年間で上場した多くのスマホゲーム専門の会社は淘汰されていく可能性があります。

ゲームアプリ市場全体は今年に入り規模的な成長が鈍化。その状況下でゲーム開発コストは高騰し、数年前まで1000万円台だったものが、最近では開発工数や、その他の理由から最低1億円が当たり前となっています。マーケティングコストも上昇傾向で、市場にゲームアプリがあふれている現状でテレビCMを打っても効果が薄くなっています。

ゲーム会社のプロモーション需要は増加しているためウェブ広告単価は上昇傾向にあります。ヒット作の難易度が上がるとともに新規参入も減ってきています。このように、全体では厳しい環境ではありますが、スマホゲーム市場自体、日本が世界一のスケールを持ち、今後ゲーム会社の数も絞られてくることを勘案すると、開発力・運営力、IPタイトルを保有している企業はこの先も、大きな収益をあげるといえるでしょう。


中国・東南アジア中心に市場急拡大が見込まれる

世界を見渡すと、今後、アジアの新興国で急激に市場が拡大していくことが予想されます。特に中国は凄まじい勢いで伸びており、経済的不安要因を織り込んでも来年には日本を上回り、今後数年間で数倍の3兆円のマーケットに成長するという予想もあります。

東南アジアの市場は、人口規模、中間層の増加に伴うスマートフォンの普及率の急拡大、通信速度等のインフラ整備により、近い将来ゲーム市場が急成長すると考えられます。また、東南アジア諸国では目立った地場のゲーム会社は少なく、海外製のゲームが中心となっています。日本に対する好感度は高く、アニメなどのコンテンツも人気があり、日本のゲームが受け入れられる環境は整っています。

日本のゲームの課金はガチャと呼ばれるくじ引き形をとることが多いのが特徴で、くじを引くとカードなどのアイテムが手に入り、欲しいものが出るまで何度もガチャを回すことで高額課金になりやすくなっています。 欧米ではこのガチャは不評ですが、日本では受け入れられ、結果一人当たりの課金額が高くなった理由となっています。スマホゲームのプレイ時間も、欧米の3~4倍費やしていて、そういったことが世界最大の市場になっている要因になっています。

主なゲーム会社は、家庭用ゲーム会社で、バンダイナムコホールディングス、スクウェア・エニックス、コーエーテクモホールディングス、カプコン、スマホゲーム大手で、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、コロプラ、ミクシィ、サイバーエージェント、スマホゲーム中堅で、クルーズ、KLab、マーベラスなどが挙げられます。

日本のゲーム産業は、過去30年にわたり家庭用ゲーム市場に携わった人口も圧倒的に多く、幼い頃からゲームに親しんだ層がゲーム業界で職に就く時代にもなっています。

こうした蓄積されたノウハウは、ゲームの深さや厚み=魅力となり、他国と比べて大きなアドバンテージがありますので、今後大きく成長する中国・東南アジアのマーケットでも売り上げを伸ばし、第二、第三のガンホー、ミクシィが出てくることが期待されます。

【プロフィール】 IFA原田茂行氏
大和証券、SMBC日興証券、野村証券を経て株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルに所属し、IFAとして独立。日本証券アナリスト協会検定会員、囲碁三段。(記事提供: 株主手帳 )

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