積立投資

(写真=PIXTA)

「安く買って、高く売る」ことが株式の鉄則であることは知っていても、「安く買うタイミングはいつか」「高く売るタイミングはいつか」を見極めるのはそう簡単ではない。こうした投資のタイミングをコントロールする方法の一つに「積立投資」がある。

給料の一部をコツコツ積み立てる「積立預金」のように、コツコツ少額を投資する「積立投資」。積み立てる金額や期間の決め方にさまざまなやり方があるが、最近注目されるのが「バリュー平均法」という手法である。
FP Cafe主催の特別講座で、経済コラムニスト大江英樹氏がオススメしたのもこの「バリュー平均法」だった。なぜ「バリュー平均法」が今注目されるのだろうか。そもそも「バリュー平均法」とはどのような投資手法なのだろうか。

「ドル・コスト平均法」と「バリュー平均法」の違い

「バリュー平均法」を解説する前に、最も有名な積立投資法「ドル・コスト平均法」について解説しよう。

「ドル・コスト平均法」は同じ金額をコツコツ積立投資することで、値が高い時期には少ししか買わず、値が低い時期にはよりたくさん買うということが自動的にできる。わかりやすい上、容易に、「安いときにたくさん買って、高いときに少ししか買わない」という投資ができるメリットがある。

ただし、「ドル・コスト平均法」が効果を出せない場合がある。それは、価格が上がり続けたあとに下がった場合であり、損失は大きくなる。大江氏は「同じ期間に同じ資産に投資する限り、その後のリスクとリターンは同じであり、ドル・コスト平均法で買ったからといって必ず有利になるとは限らない。ただし、タイミングを気にせず投資を行うため『気休め』にはなる」と話す。

「バリュー平均法」のメリット

一方、「バリュー平均法」とは、あらかじめ運用の目標金額を設定し、投資額が目標よりも上回ったら一部を売却、下回っていれば株式を追加購入するという積立投資法である。「ドル・コスト平均法」に比べると難易度は上がるが、安定した利益を得ることができると大江氏は話す。

難易度が高い理由の一つに、「バリュー平均法」では、「ドル・コスト平均法」と違って、買い続けるだけではなく、「売る」という動作が入る。そして「ドル・コスト平均法」と「バリュー平均法」を同じ条件で行った場合、平均コストが明らかに「バリュー平均法」の方が安くなるというメリットがあるとのこと。

何が危険? バリュー平均法

ここまでを読むとバリュー平均法は良いことづくしに聞こえるかもしれないが、バリュー平均法の注意すべき点について触れてみたいと思う。バリュー平均法の留意点は大きく分けて3つある。

1.    想定残高をどう決めるのか
2.    売買サイクルをどうするのか
3.    資金が枯渇した場合どうするのか

まず1つめの「想定残高をどう決めるのか」に関してだが、金額によっては資金が枯渇する懸念があり、かつ値動きがあるため、事前に適切な想定残高を決めることは難しい。そのためこの想定残高を決める場合は「えいっ」とある程度思い切って決めなければならないと大江氏は言う。ちなみに大江氏が、講義中に出した「バリュー平均法」の例では、1期目の想定金額が10万円、2期目は20万円、3期目は30万円、4期目は40万円と想定残高を10万円ずつ増やしていくものだった。

2つ目の「売買サイクルをどうするのか」に関してだが、サイクルに関して絶対的な正解というものは存在しない。しかし、あまりにも頻繁だと煩雑になりすぎるということから、大江氏は四半期ごとが適切なのではないかと述べた。年に1度でも構わないという。

3つ目の「資金が枯渇した場合どうするのか」に関してだが、この対処法としては買い付けの中止、あるいは投資の上限金額を決めることなどが挙げられる。しかしこれはバリュー平均法を行う意味を半減させてしまうともいえる。

「定年退職者」にはなぜ「バリュー平均法」なのか

こうした問題多き「バリュー平均法」なのだが、この方法を使うべき人は「定年退職者」であると大江氏は語る。なぜなら定年退職者は退職金としてまとまったお金を保有しているからである。だからといって「退職金の大半を投資に使うのは絶対にやめるべきだ」と大江氏は警告する。これはあくまでもまとまったお金を持っているということは、資金の枯渇が発生した場合に補う余裕があるということなのだ。つまり効果が顕著に出せるということ指し示す。

「バリュー平均法」の特徴について前述したが、退職後も仕事が忙しくバリュー平均法を行う時間がとれない大江氏は「ドル・コスト平均法」を用いて積立投資を行っているという。退職後も忙しく過ごす方にとっては「ドル・コスト平均法」を継続させることも積立投資の手段といえるだろう。

以上、「なぜ大阪の人は騙されにくいのか?大江英樹氏が語る『投資の3大原則」』、『「銘柄選ひ?」は「相手選ひ?」。長期投資と結婚の4つの共通点』、そして今回の『注目の積立投資「バリュー平均法」が退職者に最適と言われる理由』と、3回にわたり大江氏の講義内容について紹介してきたが、いかがだったろうか。大切なのは「自分に合った投資法を自分で選ぶこと」であると強く感じさせる内容だった。 (ZUU online 編集部)

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