2015年12月19日、東京都内で開かれた『 金融機関が教えたがらない 年利20%の最強マネー術 』『 銀行員が顧客には勧めないけど家族に勧める資産運用術 』の出版記念セミナーから、2冊の著者である頼藤太希、高山一恵、高橋忠寛の3氏と、『金融機関が教えたがらない〜』の出版に携わったFPの長尾義弘氏によるトークセッションを紹介する。書籍出版にまつわる裏話や、FPがコッソリ教える資産運用法などについて、FPの4氏がざっくばらんに語り合った。(以下、敬称略)
【参考】
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金融機関が教えたがらない「出口」で得する資産運用術
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カモネギだ!と銀行員に思わせない方法〜元銀行員が語る
書籍出版の裏話、こぼれ話
高橋 編集部としてみると、金融機関をたたきたい。しかし僕は仲間が銀行で働いていますので、現役銀行員によく思われないものを出したくない思いと、できるだけ多くの人に読んでもらいたいというところで葛藤があった。内容についても、編集部がもっと具体的な暴露とかケースを出したほうがいいという部分もあったがそこは抑えた。結構戦っていた。表紙の青い顔のネコもいやだった。悪意のあるネコはいやだといったがこのままいっちゃいました。
高山 こういうイラストはいま主流なんですか。
長尾 微妙なところ。
出版関係の参加者
ラフなタッチは流行っている。親しみはあると思う。
本を通して伝えたいこと
高橋 やっぱり高山さんの話にもあった通り、今まで企業や国が(老後の資金についていろいろ)やってくれてた時代から、個人がそれぞれ考える時代になった。お金について知っているか知らないかで変わってくる。ひとりでも多くの人が資産運用にビビることなく取り組んでもらいたい。
高山
私も同じですけど、やっぱり多くのかたが世代、性別を超えて老後どうしようかという人多い。けれども「いい商品」は金融機関は教えてくれない。いい商品を使ってできるだけ効率的に資産運用してほしい、ということを思ってこの本を書いた。
あと、FPの存在ももっと知ってもらいたい。FPをもっともっと活用していただくことで、ライフプラン、マネープランよくなっていくと思うどんどんつたえていきたい。
頼藤 確定拠出年金と書かれている本は結構あるけれど、専門用語が多く、わかりづらい部分があるのかなと思っていた。今会社で運営している「FP Cafe」でも分からない人にわかってもらえるアドバイス、サービスをめざしていて、本でも初心者がわかるように丁寧に、易しく書いた。この本を通して、実践していただきたい。読んで年利20%できるのねではなくて、実践してウハウハなんだ、と思っていただきたい。
長尾
2冊ともそうなんですけど、金融リテラシー、教養、お金の情報は非常に重要。知っていると知らないではものすごく差がでる。「下流老人」という言葉がありますが、老後で生活の差はどこででるかというと、情報の差だと思う。「知っていると得をする」というような本はいろいろ出ているが、知っていると本当に得をする。そういったことを書籍を通して知っていただくとすごくいいと思う。
FPがコッソリ教える 実践しているお金のこと
頼藤 FPの皆さんがコッソリ教える、自分で実践している「お金のこと」はありますか。
高橋 コッソリ教えるようなことはありません。普段もよく聞かれるんで言います。個人型DCは独立してすぐにやりました。サラリーマンのときはなかったが、独立して個人型が使えるようになりSBI証券でずっと積立をしています。長期なので、自分の資産の中でもリスクが高いもの、株式のファンドを個人型DCでは使っています。
頼藤 個人型も大きなポートフォリオの一部?
高橋 どうしても内容、コンテンツ自体がその中でリスクコントロールという話になりがちだが、大事なのはDCの中だけで配分考えるんじゃなく全体の資産のバランス。基本的にはDCだけでなく、全体の中のDCということを忘れないように
頼藤 家計簿は?
高橋 つけていません(笑)。家計とかライフプランとかは、そもそも不安定な道を選んでしまったので考えようがない。人には言っている割に家計のことはあまりできていない。
家計簿をつけるFPは少ない?
頼藤 家計簿アプリは?
高橋 使っていない、というか資産管理では使っていますが。家計管理という意味では全然やっていません。
高山 私もファイナンシャルプランナーなのに「節約ってなに?」という人間で、家計管理とか家計簿とか細かくつけるタイプではない。どちらかというと、細かいお金をあまり気にするタイプではなくて長期的な視点にたって合わせていけたらいいなと思う。貸借対照表は定期的にチェックして、純資産増えているのかなとチェックしている感じ。あとは、40を超えて、体力も気力も衰えていく中、チャリチャリと不労所得を増やしたい思いがあり、不動産投資のほうに最近、力を入れています。将来は家賃でチャリチャリと不労所得を得て、早く楽をしたいという感じになっています。(笑)
長尾 わたしも家計簿はつけていません。貸借対照表、おおまかなやつはやっています。家庭では、家計は全部僕が管理しています。FPで家計簿つけている人は少ないんじゃないかな? おおまかな流れがあればいいんじゃないかな。自分が実践していることでいうと、お金の話をすることと、お金を大事にすること。大事にするっていうのは、財布の中が領収書でパンパンではないし、小銭から順番に使っていく。お金の話をしていると「せこい」と言われるけど、お金の話をするとリテラシーが上がってくる。お金のことをいつも考えていると、「どうすればいいのか」という意識がでてくる。お金の意識を変えればお金持ちになるという考え方をもっているので、そういうことを僕なりに実践している。
頼藤 家計簿つけていなくてもだいたいの支出把握はしている、ということですよね。先取り貯蓄、残った分は好きに使っていいという感じですかね。僕はそうです。アフラックにいた時代、給料から予算配分やって、口座を幾つかに分けて、日常口座、貯蓄口座、余ったお金は好きに使うという風にしていた。我慢するほうがストレスで、結局たくさんつかってしまう。貯蓄先にすれば無理にしないでいい。
高橋 残高で管理する。定期的に残高維持されていれば問題ない。残高はみています。
頼藤 口座はネットバンキングで管理してエクセル?
高橋 もっている資産が変動しているので、自分の預金残高が推移しているのかはたまーにみますけど、内訳はよくわかっていないです。気にはしますよ、残高は。サラリーマンの時とあんまり変わらない。今のほうが不安定。会社の管理は必要だけど。
頼藤
僕はサラリーマンのとき、会社の福利厚生とかをよく見て利用できるものは利用しようとしていた。入っている社会保険をいかにしてもらうかとか。何気なく仕事しているだけじゃなく就業規定を観るだけでもプラスのことはある。
金融リテラシーの有無は人生の大きな分かれ道に
頼藤 最後に皆さん、一言ずつお願いします。
高山 女性のライフプラン応援をコンセプトに活動しています。女性は結婚・出産・転勤などがあり、「こういう人生にしよう」と思っていても人生の転機がやってきて、軌道修正する必要が出てくる。FPを10年やって何千件の相談に乗っている中で実感している。そのときにお金の知識があるかどうかで、しなやかに楽しく生きられるかつまづくかが決まる。金融リテラシーの有無が大きな岐路になっていると思う。突然転機が来てもでもうまくいけるようなサポートをしていきたいなと思っています。何かありましたらご相談いただけたらと思います。
高橋 金融機関の言いなりで資産運用をしている人、親御さんなどに多いと思います。もし本を見て納得したら、声掛けたりしていただけたらと思います。
長尾 2冊の本がどんどん売れていくことを望んでおります。
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元保険会社社員、元銀行員などさまざまな背景を持つ4人のFPの生の声を聞ける貴重なセミナーとなった。4氏のような独立系FPの役割は今後ますます高まっていくだろう。(ZUU online 編集部)