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日本政府の成長戦略の見通しが立たない中で、欧米投資家の慎重ムードが漂い、日本株に対する関心がやや薄れているようです。しかしその一方で、経済成長が目覚しいアジア中間層における日本株買いが注目されています。東証の海外投資家地域別売買において、アジアは2月まで18カ月連続で日本株を買い越す結果となりました。とりわけ注目すべきは、こうした動きの中心となっているのが、政府系ファンドをはじめとする巨大投資家ではないということでしょう。

アベノミクスへの期待も後押しする形となり、マレーシアのホワン・インベストメント・マネジメントは3月、同国の個人向けでは初の日本株投信となる「セレクト・ジャパン・クォンタム・ファンド」を設定しました。30億円弱にものぼる資金を中間所得層から集めています。こういったアジアの投資家は、訪日観光客の増加からも窺えるように、日本のサービス業に高い関心を寄せているのが特徴となっています。日本株の値動きは依然不安定な状態が続いていますが、今後、こうしたアジア投資家の静かな日本株買いの動きには注目が寄せられることでしょう。

著しい経済成長に伴い、アジアでは富裕層人口が急激に増加していますが、彼らアジア個人投資家が日本株に対して関心を高めている傾向にあります。こうした傾向の背景には日本のアベノミクスに対する期待感の高まりや、オリンピックの開催、また円安などの影響によって日本株が割安に感じているという要因が考えられます。それらに加えて、訪日観光客の増加からも窺えるように、単純に日本への憧れのイメージから投資を行っている現状もあります。

日本株に対して慎重ムードばかりが漂う欧米投資家に対して、こうしたアジアの個人投資家パワーが、低迷続く日本株を下支えしてくれる可能性があります。さらに、アジア全体の株式市場が割高になっている傾向で、相対的に日本株の魅力が高まるという期待もあり、とりわけ関心の高い大手ブランドや観光関連などの分野でアジア投資家の日本株買いの動きが活発になってくると考えられます。