(写真=PIXTA)
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結婚前のカップルが2人の将来のことを考えて、マネー相談に来られることも多くなってきている。結婚後の家計のやりくりはもちろんのことだが、直前に控えた結婚式の費用に関しては特に危機感を抱いている人は少ない。

「一生に一度だから」と好きなテーマカラーを決め、花も花言葉を気にしながら、ドレスのブランドはここで、料理も…とこだわりが多くなり、気がついたら予算を大幅にオーバーというケースも。大切なイベントではあるが、ここにお金をかけすぎると結婚後の生活に大きな支障をきたすこともある。そこで、今回は結婚式にお金がかかりすぎる理由について考えていきたい。

一生に一度だからと思うとケチりたくない

結婚式というと「一生に一度の大切なイベントだから」と必要以上にお金をかけすぎてしまうことも多い。実際、憧れを全て形にしようと思うと莫大な費用がかかる。「結婚情報ゼクシィ」によると首都圏の結婚式の総合費用平均は341.7万円だ。

しっかりと貯蓄してきたカップルであれば支払いもできる金額であるが、若い世代にとって親の援助がなければかなりしんどい出費である。中には一生に一度だからと「ブライダルローン」なる借金をしてまで結婚式を挙げるケースもある。

楽天銀行でブライダルローンを検索してみると、借入金額300万円までで金利は7%、三菱東京UFJ銀行ではカードローンの使用で4.6%と、かなり高い金利のようだ。一般的な住宅ローン金利は1.68%(住宅支援機構フラット35、35年ローンの一般的な金利、2015年12月時点)であるからいかに高い金利であるかおわかりであろう。

学生時代に奨学金を借りていて返済が残っている場合は、ローン返済額が増え、結婚後の住宅取得の際にかなり負担が大きくなったりローン審査も厳しくなったりすることもある。ひどいケースになると結婚してすぐにブライダルローンが払えず自己破産になることもある。「一生に一度」とはいえ身の丈にあった結婚式を考えていくことが大切だ。

工夫次第で節約できる費用

平均的な結婚式の中身を見てみよう。結婚情報誌ゼクシィによると首都圏の場合、平均招待客人数は66.9人。料理の費用は一人あたり1万8700円。衣装の平均は新婦で40.4万円(平均着用枚数2.2着)、新郎16万円(平均着用枚数1.5)。ブライダルエステ8.7万円。ブーケ3万円。会場装花17.3万円。招待状1部400円、席札175円、席次表413円、メニュー表184円。引き出物の総額32.6万円。写真撮影21万円。ビデオ撮影18.6万円。ひとつひとつの料金は少なくても、積み重なるとかなりの費用になる。

特に衣装に関しては、新婦は平均2.2着のレンタルで40.4万円と高額だ。結婚式当日と写真の前撮りに着用するだけでこの金額。普段冷静に考えると二回の衣装レンタルにこの金額を支払うことに尻込みしてしまうのではないだろうか。

インターネットでセミオーダーするウエディングドレスは2~3万程度から10万以内のものもある。一般的な結婚式場の衣装持ち込み料は5万円程度なのでそれを支払ったとしても安くなり、自分のものとして持っていることもできる。将来の子供に託すこともできるかもしれない。

また、その「持ち込み料」は、結婚式場の契約規約に書かれていることもあるが、担当ブライダルプランナーに相談してカットしてもらえたケースもある。「友達から譲ってもらった思い出深いものなので着たい」「彼が選んでくれた素敵なドレスなので是非これを着たい」など持ち込みたい理由を話してみてもいいかもしれない。幸せをかなえる仕事をしているプロは花嫁の願いを聞いてくれることも多いようだ。決して自分の権利を誇示するように言ってはいけない。その後の関係にも響いてくるので、あくまでもお願いしてみて割引してもらえたらラッキーというものであることをお忘れなく。

写真も、写真を撮ることが趣味の友人にお願いしたり、招待状も手作りしたりと工夫できることはたくさんある。ブーケもインターネットショップでブリザーブドフラワーのものが2万円程度と安く手に入ったり、髪飾りとお揃いでオーダーできたりするものもある。おまかせで提案されるものの中だけで選ぶのではなく、少し冷静になって大切なお金の使い道を考えていきたい。あれもこれも、となってしまう場合には、一度全て書きだし、優先順位をつけるとよいだろう。

一生に一度のことにお金をかけすぎて、それからの長い人生が大変になることは本末転倒だ。工夫を楽しみながら、素敵な結婚式を挙げて欲しい。
稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP)、心理カウンセラー
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆業務を行い、テレビ・新聞・雑誌などのメディアでも活躍中。 FP Cafe 登録FP。