初の外国人総裁

カナダ出身のマーク・カーニー総裁。カナダ銀行の次に職を得たのは、なんとイングランド銀行でした。 カナダ銀行をリーマンショックの危機から救い出した手腕を見込まれたというわけです。 初めての外国人の中央銀行総裁として、英国の金融業界に新風を巻き起こすことが期待されています。また、任期中には金融緩和の出口戦略が課題となることも見込まれる中、その手腕が注目されています。


アベノミクスよりもクロダノミクス

「株高・円安」を演出したとして、高評価を得ているアベノミクス。けれども、蓋を開けてみれば、実はアベノミクスじゃなくて、クロダノミクスなのではないだろうか?というくらい日銀の「異次元緩和」が効いています。 ただ、中央銀行による無制限国債買い入れが、「財政ファイナンス」にあたるのではないかという批判もあるところ、よくよく日銀の動向を注視していく必要があるのではないでしょうか。 また、今は時期尚早ですが、そのうち、量的緩和の出口について考えていかなければなりません。アメリカが「うまくやって」くれて、前例を作ってくれればいいな、と思うのですが・・・。 クロダノミクスで終わらず、アベノミクスで実体経済の底上げをしなければ、いつまでたっても「出口」議論には辿りつくことは出来ません。安倍相場ならぬ黒田相場で景気を下支えしている間に何とか、デフレ脱却の道筋をつけてほしいものです。

伝統的な中銀の役割からは逸脱して活躍する各国中銀総裁たち。 膠着する政治をしり目に対応策を矢継ぎ早に生み出す彼らの姿は頼もしくもあり、反面、それでいいのだろうか、という不安もあるのではないでしょうか。政治家は民主的に国民の信託を受けているものでありますが、中央銀行は違うからです。また、中央銀行の政策は、政府から独立した中央銀行の中立的・専門的な判断に任せるのが適切であると考えられていますが、今は極めて政治の意思と近いと考えられるからです。

そして、中央銀行が頑張っているのに、政治が足を引っ張っているようなお粗末な状況も散見されます。欧州では、ドイツなどの債権国と南欧諸国等の意見の一致が見られず、ドラギ氏の政策の独壇場でした。また、米国では、民主党と共和党が紛糾して米議会が閉鎖されましたね。どんなに金融緩和で経済を下支えしようとしても、政治がその調子であれば、経済はなかなか上向いてはいかないのではないでしょうか。 金融政策という点で、政治家が手綱を手放したのか、と思わざるを得ないような場面も存在しています。

市場を見ていくうえで、各国中銀総裁が欠かせないプレイヤーであることは事実です。ますます重みを増すその存在に今後も目を離すことはできませんね。

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