「中小企業診断士」――中小企業へのコンサル能力を認定する資格

◆ノマド志向の人にはベストマッチ

LEC専任講師 中小企業診断士 金城順之介氏(金城順之介事務所代表)
LEC専任講師 中小企業診断士 金城順之介氏(金城順之介事務所代表)

中小企業診断士は、中小企業へのコンサルティング能力を認定する資格だ。経済学や財務会計、企業経営理論や運営管理、経営法務、経営情報システムなど学習の分野は幅広い。

LEC専任講師の中小企業診断士、金城順之介氏(金城順之介事務所代表)は「診断能力について国から認定を受ける資格です。企業診断は独占業務ではないため、同業者間の過当競争に陥ることが少ないと言えます。診断の範囲が広い分、つぶしが効く資格とも言えるでしょう。このように変化が激しい時代、例えばノマドを目指すような方にはベストマッチすると考えています」と太鼓判を押す。

◆独立するのは2割程度? 7割がダブルライセンス

資格の取得を目指す人は、企業内で管理職になる、または独立開業をするなど、さまざまな目的を持っている。共通するのは「経営学」を身に付けたい人であるということだ。

そこでMBAと中小企業診断士の選択肢があるのだが、専門分野を深く学ぶMBAに対して、中小企業診断士は幅広い領域の学習が特徴である。

資格を取得した後は、勤める企業内で経営企画への参画など社内でのキャリアアップを目指す人が多く、その割合は8割程と言われる。財務、法律、人事管理、マーケティングなどの幅広い知識と論理的な思考力を持ち合わせるため、企業に求められやすい人材となる。

2割ほどが独立し、例えば金融企業出身ならば資金調達のコンサルティング、元SEならばITコンサルティング、製造業ならば現場改善コンサルティングなど、それまでの強みを活かした経営コンサルタントになる人が多いそう。もう一つの働き方として、特に50代、60代の取得者に多い傾向として、公的機関に勤務するというキャリアの転換を行なう人もいる。

公表された資料によれば、中小企業診断士の約7割がダブルライセンス(他に資格を保有)で活躍していることが分かる。例えば中小企業診断士と合わせて、社会保険労務士、情報処理技術者、不動産鑑定士の資格を取得する人が多い。公認会計士、司法書士、弁護士の資格を取得する人もいる。

前出の金城氏も「独立開業している中小企業診断士の収入は、その業界によるところもあるでしょう。5年後、10年後に何をしていたいのか。そのための投資期間も必要です。だからこそ、独立は若いうちがよいと思います。中小企業診断士の資格取得が、独立の後押しになればいいですね」と語る。

日本経済新聞社と日経HRが共同で、ビジネスパーソンを対象に行った「新たに取得したい資格」(語学検定含む)の調査で、前年の6位から順位を上げて首位になったのがまさに中小企業診断士だった(2016年1月12日付、日経朝刊)。

資格は取って満足するのではなく、専門性を高める努力を続ける必要がある。特に中小企業診断士はダブルライセンスの人が7割いることからも分かるように、資格者はこの資格を取得してからも自らを高める努力を続けている。