「行政書士」――役所と国民をつなぐ存在、守備範囲は広い
◆取得までの学習期間は2-3年
LEC専任講師の行政書士、黒沢怜央氏(株式会社ジーネット代表取締役)は行政書士の特性について「行政書士は、役所と国民の媒介となる存在の資格です。例えば裁判所は弁護士、特許庁は弁理士の管轄。しかしそのような独占業務のない役所が沢山あります。行政書士はそれら全般を担当できます。さまざまな専門家がいる集団といったところでしょうか」と語る。
実務の守備範囲は広く、また身近なものである。相続の手続きや遺言状の作成も行政書士が行なうことができる。他には、例えば外国人の知り合いが多ければビザ関係の仕事が増えることがあるだろう。陸運局での手続きや、飲食店の営業許可を専門にする行政書士もいる。
取得後は企業に就職、または勤めている会社でのキャリアアップを目指す人が多い。もちろん取得後に開業する人もいる。
◆億円単位の売上をめざすところも
「資格取得後の開業登録は20~25%程度ではないでしょうか。成功すれば売上3000万円以上ということもあり、その上の億を目指す人もいます。個人では1500万円ほどの収入を得る人もいます」というから驚きだ。
開業を成功させるために一番重要になるのは「法律を使いこなす技術」。行政書士は法律家なので、法律の知識や、法律を使って問題を解決するための技術が欠かせない。そして法律知識・ノウハウという「商品」を作るだけではなく、それを販売するための「営業スキル」も必要になってくる。
独立開業については、権限を活かして、社会でどのような方の手伝いをしたいのか。または企業のサポートをしたいのかを考えるべきだろう。「その先に『商品』が見えてくるのではないでしょうか」と黒沢氏も話す。
例えば相続手続きや遺言書の作成を分かりやすく説明して手続きしたり、起業時の支援を行なったりすることは、企業や個人事務所の社会的な成功をサポートする業務になるはずだ。それらの積み重ねにより、行政書士としての年収もアップが期待できるのではないだろうか。
黒沢氏はさらに「私は独立開業の厳しさも知っていますので、けっして安易なお勧めはしませんが、個人としてバリバリと仕事をするのか、経営者として人を扱いながら組織を大きくするのかで、収入は違ってくるのではないでしょうか」と話す。
資格取得を目指すのであれば、目の前の未来だけでなく、長期にわたる将来のキャリアイメージをしっかり持って、何を取るのか、どう取るのかを考えるべきだろう。どういう道をを選ぶにせよ、今や「この資格を取れば安心」というものはないと考えたほうがいい。これまでに自分が培ってきた経験や、すでに取得している資格との親和性はもとより、これからの自分のキャリアの変化、社会の動きを見据えたうえで、資格取得については考えたいものだ。
(記事提供: BUSINESS NOMAD JOURNAL 編集部)
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