(写真=PIXTA)
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はじめに

少子・高齢化や経済環境の悪化にともない、国内市場が細っていくなかで、韓国の保険会社にとってもグローバル市場での事業展開が重要な課題となっている。

今までのグローバル保険市場は、先行者であるプルデンシャルやAIA等の欧米企業が主導しており、後発走者である韓国の保険会社が今後市場占有率を高めるために、解決すべき課題は山積している。本稿では、韓国の保険会社の海外進出の現状や今後の課題について述べたい。

韓国の保険会社の海外進出の現状

韓国における保険会社の海外進出は、1970年から始まった。初期には事務所を中心に進出し、海外の金融市場や保険産業の情報を収集・提供するのが主な目的であったものの、2000年代中盤以降は積極的に現地法人を設立することにより、海外での保険営業も展開している。

損害保険会社の海外法人数は、2008年の9カ所から16カ所に、また同期間における生命保険会社の海外法人数も、9カ所から11社に増加している。支店や事務所を合わせると、損害保険会社が52カ所、生命保険会社が28カ所で、合計80カ所の営業拠点が設けられている。

表1は、2014年6月時点の韓国の保険会社の海外事務所や支店、そして現地法人の国別現状を示しており、アメリカやイギリスを除けば、ほぼアジア新興国市場をターゲットとして積極的に進出していることがわかる。

会社別(*1)には、サムスン火災が、ヨーロッパ、アメリカ、シンガポール等11カ国に進出し、21カ所の店舗(現地法人や支店、そして事務所)を運営している。2014年上半期の海外部門の当期純利益は1,922万ドルで1年前に比べて1.6%増加した。

現代海上は、アメリカや日本、そして中国等に10カ所の店舗を運営しており、特に中国での営業実績を高めるために努力している。アメリカでは住宅総合保険を販売する等商品企画の現地化に力を入れている。その結果、海外部門の収入保険料は2006年の391億ウォンから2013年には1,760億ウォンに4.5倍も増加した。

東部火災も、2014年に中国の重慶市を基盤とする安誠保険の持分15%を買い取るなど、中国での営業活動を展開しようと準備を整えている。

メリッツ火災は、インドネシアにメリッツコリンドを設立し、火災保険や再保険等の営業活動をしている。

再保険会社のコリアンリーも、アメリカ、日本、イギリス、シンガポール、ドバイに海外店舗を運営しており、売上に占める海外営業の割合を2012年の22.6%から2050年には80%まで増やすことを目標にしている。

生命保険会社の中では、ハンファ生命(旧・大韓生命)の海外進出が目立つ。ハンファ生命は、ベトナムでの成功をベースに、2012年にはインドネシアの保険会社、MulticorLifeInsurancePTの買収を完了した。これは、韓国の生命保険会社が、M&Aを通して海外の保険会社を買収した初めてのケースである。

合計14カ所の海外店舗を運営しているサムスン生命は、2005年に中国の中国航空グループと50対50で合弁会社を設立、中国人を対象とした保険商品販売に参入し、最近は少しずつ利益が出ている(会社別詳細は付表1と付表2を参照すること)。

韓国の保険1