ブライダルローン
(写真=PIXTA)

「一生に一度」という、特別感が利用のきっかけとなりやすい「ブライダルローン」。せっかくの晴れの日だから目一杯こだわりたくなるのが乙女心だが、できればローンに頼らず、自己資金でまかないたいところだ。しかし、急な転勤や授かり婚で結婚費用を準備する暇のない場合もあるだろう。そこで、万が一の時の不足をカバーする方法として、「ブライダルローン」を考えてみたい。

まずはブライダルローンが使える範囲の確認をする

ブライダルローンは「目的別ローン」のひとつで、結婚式や披露宴の費用といった結婚に関する費用を対象としたローンである。フリーローンの場合、事業性資金を除き、特に使途は問われないことが多いが、目的別ローンは使い道が決められているのが特徴だ。

例えば、アルプス中央信用金庫の「ブライダルハッピーローン」では、挙式や披露宴・新婚旅行などの費用の他に、結婚関連費用として、引越費用、家具・家財購入資金なども範囲に含む。

金融機関によって認められる費用の範囲が異なっており、申込時または融資実行後に使い道を証明する書類の提出が求められる。ブライダルエステなど、新婦をより美しくするための費用などでの利用も考えているのなら、事前に確認を取っておくことが大切だ。

ブライダルローンを借りるメリットは

ブライダルローンを借りるメリットは、金利の低さだろう。使い道が決まっていないフリーローンよりも金利が低く設定されている。適用される金利は金融機関によって異なっているが、金利の相場は固定金利で3%~13%前後となっている。

また、結婚にかかる費用は数百万円単位と言われているため、借入限度額がおおよそ300万円~500万円となっているのも魅力である。ただし、借入れには審査があり、人によっても金利や限度額が異なることを理解しておこう。

では、実際に借入額200万円、返済期間5年でブライダルローンを組んだ場合のシミュレーションをしてみよう。

【ケース1】楽天銀行:金利7.0%
月々の返済額:3万9602円
返済総額:237万6110円
利息総額:37万6110円

【ケース2】JAのべおか:金利3.925%
月々の返済額:3万6765円
返済総額:220万5891円
利息総額:20万5891円

金利だけ見るとケース2が有利だが、ローンには保証料がつきものだ。楽天銀行の場合は金利に含まれているが、JAのべおかの場合は正組合員年0.5%、 准組合員年1.0%の保証料の他に、別途一律保証金1000円がかかってくる。

他にも、繰り上げ返済時の手数料が掛かるケースなどもある。借り入れをする際には、細かな決まりに注視して借入先を検討したい。また、返済期間が5年から10年と短く設定されているため、毎月の返済金額が大きくなりがちだ。「借りられる金額」ではなく「返せる金額」でローンを検討してほしい。

ブライダルローンは急な出費には応えられない?

ブライダルローンは審査に時間がかかることが多いため、計画的な借入れがカギとなる。千葉銀行の「ちばぎんブライダルローン」を例にとると、借入れまで約2週間みておく必要がある。

人数の変更や飲み物の追加料金など急な出費に備える場合や、ご祝儀で結婚費用を賄えそうな場合には、一時的支出としてカードローンやキャッシングの利用を検討してもよいのではないだろうか。また、「満20歳以上であること」や「毎月安定した定期収入のある方」など申込みの条件が設定されている。審査が通らない場合に備え、他に手立てがないかもしっかり想定しておきたい。

ブライダルローンは最小限の利用にとどめる工夫を

結婚費用は一度に大きなお金を使うことになるため、後々の生活を考えると貯金を切り崩すことに不安を感じることもあるだろう。

予算内に収める方法として、お金をかけるところと控え目にするところのメリハリをつけることを検討したい。筆者の場合、身内だけの結婚式の予定が、会社の上司や友人たちも呼ぶこととなり、想定の倍近い費用が必要となった。そのため、できるだけ無駄を省くと決め、参列者へのおもてなしである食事は重視するが、当時ホテルに持ち込みが可能であったブーケ作成と司会、ゴスペルなど催しを友人に格安でお願いするなど工夫を凝らした。招待状作成などホテルにお願いすると結構な値段になるものは、東急ハンズなどで市販されているキットを使い、自分で作成してみてもいいかもしれない。

また、祖父母や両親に援助をお願いすることも考えてみよう。「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」を利用して、20歳以上50歳未満の子・孫(受贈者)名義の金融機関の口座等に、結婚・子育て資金を一括して拠出することにより、子・孫ごとに1000万円まで非課税となる。

ただし、このうち、結婚に関する費用は最大300万円であること、2015年4月1日から2019年3月31日までの4年間の措置であること、適用の範囲が決まっていることなど注意点がある。前もって取扱金融機関や税務署に確認しておくことが必要である。

ローンを組むということは新生活のスタート時期にマイナスの資産を持つことにつながる。本当にローンを組む必要があるのかをじっくり考え、どうしても必要であれば最小限の利用にとどめる工夫をしておこう。

辻本 ゆか
夫婦ふたりの暮らしとお金アドバイザー、CFP
大手金融機関にて個人向け営業に従事。その後、乳がんを発症した経験から、備えることの大切さを伝える活動を始める。現在は子どものいない夫婦やシングル向けの相談業務もしている。 FP Cafe 登録FP。