ベンチャー
(写真=PIXTA)

山形は、日本酒、さくらんぼ、米沢牛だけではない

山形県というと日本酒、さくらんぼ、米沢牛などが思い浮かび、昔ながらの素朴な東北地方の県というイメージではないでしょうか。しかし、実は今、ベンチャー企業支援で注目されている県なのです。

山形県は、2015年11月25日に地方公共団体で初めて世界的な研究開発機関である「SRIインターナショナル(旧スタンフォード研究所)」から研修講師を招いて、イノベーションを起こすためのノウハウを学ぶ起業塾「シリコンバレー流 山形ものづくりイノベーション塾」を開講することを発表しています。

これは県内外から研究者や若い世代などを山形県に惹きつけて、起業を促進することを狙いとしています。山形県は2015年度、「やまがたチャレンジ創業応援」という取り組みを行っています。創業を志す人に対して、地域を挙げて支援する体制を築くため、商工会議所、商工会、信用保証協会、日本政策金融公庫、中小企業団体中央会、企業振興公社をはじめとする商工支援団体等を構成員とした「創業支援ネットワーク」を県内7地域に組織し、各団体の得意分野を活かした支援体制を構築しています。

また、山形県はベンチャー支援だけにとどまらず、就職支援環境の構築にも熱心なことで知られており、山形県若者就職支援センターを県内の2ヶ所に設けています。相談員による一般相談職業選択や職業能力形成、仕事と職業に対する悩みなど、45歳未満の若年者の就職全般に関する相談を実施しています。その他、必要に応じて専門相談も実施しています。例えば個人の興味や能力、価値観などの特性をもとに望ましいキャリアの選択や開発を支援するキャリアカウンセラーや、キャリア形成など働く人たちが抱える問題を自らの力で解決するための支援を行う産業カウンセラー、臨床心理士らが相談に当たります。

クモの糸の人口合成を成功させたのは山形のベンチャー企業

山形県が支援した企業のひとつに、同県鶴岡市に本社を置くSpiber(スパイバー)株式会社があります。新世代高機能素材として期待される人工合成クモ糸素材の開発に成功したベンチャー企業です。

Spiber社長の関山和秀氏は2002年から同市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所を拠点に研究活動に携わり、04年9月からクモ糸人工合成の研究を開始し、博士課程在学中の2007年にSpiberを設立しました。

同社の人工合成クモ糸素材「QMONOS」(クモノス)は、強靭で伸縮性に優れているだけではなく、枯渇が懸念されている化石燃料に依存しないバイオマス由来であることから、環境性と持続可能性をあわせ持つ新世代素材として注目されています。

QMONOSの開発は、クモの命綱である牽引糸が、鋼鉄を上回る強度と、ナイロンを上回る伸縮性をあわせ持つタフな繊維であることに着目したことからスタートしたそうです。

直径1センチメートルのクモ糸で巣を張れば、ジャンボジェットを捕らえることができるとまで言われているほどの強靭さがあり、防弾チョッキに使用されているアラミド繊維の7倍の強さがあるのです。

就職の選択肢のひとつとして地方を含めるのもいい

就職先を東京や大阪などの大都市圏に限定して探す人は、出身地に関わらず多いのではないでしょうか。就職先の数は、間違いなく地方より大都市圏の方が多いです。しかし、その数の多さをチャンスと考えても、裏を返せば就職活動をしている競争相手もまた多いのです。

もし、あなたが地方出身者で大都市圏に勤務しているとしても、地元で就職先を探す、つまりUターンも選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか。もちろん、地方での就職は地方出身者だけのものではありません。大都市圏育ちの人にも、扉は開かれています。いわゆるIターンです。

とはいえ、地方は大都市圏に比べれば就職や企業に関する情報が少ないことは否めません。そんな時こそ、就職を希望する自治体にコンタクトをとるべきです。山形県で就職を希望するならば、前述した山形県若者就職支援センターに問い合わせることも方法の一つです。

大都市圏の中の大都市、東京一極集中の弊害が叫ばれて久しいですし、今こそ地方創生が求められている時です。柔軟な思考で「地方で就職」という可能性について思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。(提供: nezas

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