自治体側は地域振興に大きな期待

ひと足早く受け入れに動いたのは新潟県中越地方、越後三山に囲まれた南魚沼市。2014年から産官学で勉強会を始め、2015年7月に南魚沼版CCRC推進協議会を設立、これまでに計5回の会議を重ね、既にゼネコンから事業化提案書も受け取った。

南魚沼市は高齢者が輝く街を意味する「プラチナタウン構想」を掲げている。市内にある国際大学約40ヘクタールの敷地に200戸、400人が暮らす街を建設する方針で、推進協議会に高齢者向け住宅を建設する組織を置き、高齢者が暮らしやすい街づくりを進める構想も持つ。

南魚沼市は米どころとして知られるが、長く人口減に苦しみ、6万人の大台を割っている。南魚沼市企画政策課は「CCRC構想を市の基軸事業と位置づけ、事業内容の具体化を進めていきたい」と意欲を見せた。

山梨県東部に位置する都留市は2015年4月、CCRC構想実現に向けた5つのプロジェクトチームを設置して調査、研究を進め、2016年2月に都留市CCRC構想研究会をスタートさせた。

既に下谷地区に候補地を定め、高齢者向け住宅を建設する方向。さらに、市内の団地なども利用し、2019年度から受け入れを進めることにしている。都留文化大学など市内のある大学3校と連携し、高齢者の活躍できる場も検討中だ。

人口3万人ほどの小さな山間の街だが、都心から90キロ、車で1時間の距離にある。都留市企画課は「移住者受け入れ競争が加速しているが、大学との連携など都留市のセールスポイントを訴え、CCRC構想を地域の発展につなげたい」と意気込む。

山口県宇部市は1月、市役所で開いた宇部多世代共働交流まちづくり検討会で宇部版CCRC構想を3月末までに固め、2016年度に構想に基づく基本計画を策定する考えを示した。中心市街地とあすとぴあを候補地として、高齢者の受け入れを進める計画だ。

山口県山口市は2月、高齢者受け入れを検討する専門委員会の初会合を開き、市内4地区を重点エリアとする構想の素案を明らかにした。福岡県北九州市は点在する空き家で高齢者を受け入れ、大規模開発のコストをかけずにCCRC構想を進める方針を示している。