「ロードスター」や「テスラモデルS」で一躍時代の寵児となった米電気自動車、テスラ・モータズ。しかし3月1日、米調査会社シトロン・リサーチの「需要と供給問題が深刻化し、年末には株価が100ドル前後まで落ち込む」というTweetを受け、株価が一気に3%下落するなど、雲行きがますます怪しくなって来ている。

良い意味でも悪い意味でも不安定要素満載のテスラ

世界的なエコブームとスタイリッシュで革命的なイメージが時代の波に上手く乗り、着実に事業を拡大してきたテスラだが、経営面での浮き沈みでは近年話題にこと欠かない。

テスラの商品は環境に優しいとされるエコシステムに加え、「スーパーカーをしのぐ」と形容されるほどの高性能を備えもつだけに、高めに設定された価格によって購入層が限定されている。

それでもなお生産プロセスが需要に追いつけず、先行投資ばかりがかさんでいることなどが蓄積された結果、昨年第4四半期は純損益が3億2000万ドル(約363億720万円)に拡大。株価は今年に入って22%落ち込んでいる。

また昨年からJMPセキュリティーズやスタンダード&プアーズなどがテスラの信用格付けを降格させている事実も、投資家にとっては十分な不安材料であったはずだ。

そこへ来て暴落株予測では定評のあるシトロンに「年内に46%の大暴落」の烙印を押されてしまったとなれば、3%の下落でとどまったのは奇跡的といえるかも知れない。

「いずれテスラは庶民向けの商品を販売せざるを得なくなる」という2013年8月のシトロンの予測が、手頃な価格のモデル3の発売で的中していることから、今回の大暴落Tweetに注目が集まったのは不思議ではない。

しかしテスラには、良い意味でも悪い意味でも不安定要素がふんだんに盛り込まれているーーという点を十分に考慮すると、一概に大暴落株と確定してしまうには時期早々かと思われる。

今年の予定生産台数が以前の7万6000台から最高9万台にまで大幅に引き上げられた効果と、2月中旬の利益報告が投資家に安心感をもたらし、株価が30%跳ね上がったという最近の例もある。最も注目すべきは、過去3年間で収益を4倍に増やしたという実績は、S&P500企業やライバル自動車メーカーでさえ達成できていないという点だ。(ZUU online 編集部)