銀行の一部店舗が平日休業にする可能性があることを新聞報道やニュースなどで知った人もいるのではないだろうか。これによって、銀行の休日営業が増える可能性もある。あくまでも検討段階の話だが、なぜこのような動きがあるのだろうか。その背景と、今後想定される銀行の動きについて解説しよう。

銀行法施行令により銀行の休日は決まっている

PC
(写真=PIXTA)

日本は銀行法施行令によって、土日や祝日、年末年始などを休業日とすることを規定している。これは、さまざまな商取引において資金決済が必要であり、自由に銀行が休みを取れば企業間の取引に支障が出るおそれがあるためだ。

もちろん、平日に1銀行のすべての本支店が休日になるわけではなく、A支店が休業していてもB支店やC支店といった近隣の支店は通常業務を行うため、A支店の利用者はB支店やC支店に出向けばサービスを受けられる。しかし、近隣の支店が自宅や会社から離れていて、なかなか出向くことが出来ない場合には、取引に支障が出る可能性もゼロではない。

近年、インターネットバンキングの普及により、法人でもインターネットバンキング経由で振込を行うケースが増えてきた。また、個人でも自分の好きな時間にスマートフォンやパソコンを利用して振込手続きを行う傾向がある。窓口に出向く回数が減れば、おのずと銀行の窓口業務のニーズが減ることに繋がる。また、窓口業務のいくらかが人から人工知能やロボット、画面での操作等に変わるかもしれない。

取引種類ごとに棲み分けが進む可能性が

そんな中、窓口のある銀行ではさまざまな工夫が行われている。例えば平日の日中仕事などで忙しく、店舗に出向けない人のために、平日夜や土日祝日の資産運用セミナーや無料相談会が開催されている。一部の銀行では土日営業を行い、資産運用コンサルティングを受け付けている店舗も存在する。

実際に、休日に資産運用コンサルティングが受けられるようになれば、ついつい後回しになりがちな自身のライフプランや資産運用について時間をかけてゆっくりと考える機会を得られるだろう。また、ポートフォリオ分散を考える際に、ポートフォリオの中身だけではなく、いつ、どこで、誰に、何を相談するのが自分にとって利便性が一番高く、満足が得られるのかを考えるきっかけにも繋がる。

一方で、窓口とインターネットバンキングの垣根もなくなりつつある。それは、窓口だからこそ豊富な商品があり、丁寧で分かりやすい説明が受けられる時代だというわけではなくなっている。たとえば、インターネットバンキングでは普通預金だけではなく、定期預金や外貨預金など、顧客のニーズに応じて多様性のある商品ラインナップを取り揃え、さまざまなサービスを安価な手数料で顧客に提供をしている。それらは窓口同様に分かりやすく誤解のない説明が行われているのもポイントだ。

これだけさまざまな情報を得られる場がインターネット上に提供されれば、自ら勉強し、預貯金や運用商品への理解度を深めるとともに、窓口に行って相談しなくても自分で資産運用をする選択肢を選ぶ顧客も増えていく可能性が高い。

こう考えると、今後はface to faceを求める顧客は窓口を利用し、金融知識やネットリテラシーが豊富で、自分で資産運用先を決められるという顧客はインターネットバンキングを使うなど、銀行の利用目的も変化していくことだろう。

インターネットバンキングが銀行業界に与えた影響は大きい

インターネットバンキングは私たちの生活における時短を可能とし、利便性の向上に一役買っている。裏を返せば、銀行の支店における役割は変わらざるを得ない状況であるともいえる。数多くの金融機関がある中で、自身にとってどのように各銀行と取引を行っていくのがベストなのかをよく検討しよう。利用目的や頻度を鑑みたうえでベストな取引の仕方を選ぶことが、より利便性の高い生活を送ることにも繋がるはずだ。(提供:大和ネクスト銀行


【関連記事 大和ネクスト銀行】
専門家も知っておきたい外貨準備高を読み解く方法
FEDとFRBって何が違うの?世界が注目する金融政策
何かが起これば円高?「有事の円買はなぜ起こる?
「ドル建て日経平均」に着目すると違う景色が見えてくる ?
外貨預金をする際に気にしたい IMM通貨先物ポジションとは