(参考)米国リバースモーゲージの沿革

1961 Main州の貯蓄貸付組合(S&L)による米国発のRM契約成立。
1963 固定資産税繰延制度(Property Tax Deferral:PTD)がオレゴン州で創設される。高齢者を対象に延納を認めた制度。
1969 RMのコンセプトが上院高齢化委員会で取り上げられる。制度化へのスタート。
1977 Broadview Savings and Loan Company Clevelandが、Equi-payを商品化。
1978 繰延ローン制度(Deferred Payment Loan:DPL)をWisconsin州の地方開発局が開発。家の補修・改築費用への使途に限定。
1981 San Francisco開発基金による無保険・確定期間融資型RAMの提供開始。
1984 American Homestead社がIndividual Reverse Mortgage Account:IRMAの提供を開始。初の終身型商品(無保険・終身融資・終身無返済)。
1987 HECM導入(Housingand Community Development Act)高齢持家世帯の需要に対応。基本は消費者保護:融資機関が破綻してもRMによる融資継続を政府が保証、過剰なフィーの規制、カウンセリング義務化。
1988 レーガン大統領Actに署名。FHAによるHECMのデモ・プログラムを承認
1989 最初のFHA保険付きHECMの契約成立(デモ・プログラムによる)。
HECMのデモ・プログラムの開始(2年間、2500件を上限とする)。
1991 HECMのデモ期間が1994年まで延長される。
1993 Freedom Home Equity PartnersやTransamerica Home FirstなどがCash Account Planの提供を開始(年金型ではなくLOC型)。
1996 ファニーメイがRM商品としてHome Keeperを提供開始。
1998 HECMの恒久制度化(随時、融資限度額は引き上げ。当初は151,725ドル。
1999 リーマンが、Financial FreedomのRMローンプールを民間で最初に証券化。
2007 ジニーメイ(GNMA)による証券化プログラムの開始(HECMプールに基づく世界最初のHMBSパススルー債発行)
2008 リーマンショック、大手金融機関の撤退Bank of America(2011年4月)、Wells Fargo(2011年9月)、MetLife Bank(2012年4月)
2009 Housingand Economic Recovery Act(融資限度額引上げ、消費者保護強化、HECM for Purchase(PA)の導入):高齢適格世帯が家族への近接やダウンサイジングを目的に、新居(新築でも既存でも可能)に住み替えることを支援。
2010 ファイニーメイはHECM投資及びHome Keeperから撤退。→ ジニーメイ保証制度に移行。
2013 Reverse Mortgage Stabilization Act of 2013(HECM,FHAの健全性確保)

篠原二三夫(しのはらふみお)
ニッセイ基礎研究所 社会研究部 土地・住宅政策室長

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