日本銀行より5月12日に4月の貸出・預金動向速報が発表されました。銀行・信用金庫合計での貸出平均残高は前年比で2.1%増加し476兆5,961億円と30か月連続で増加しています。内訳をみると、都銀等が1.1%(201兆6,654億円)、地銀・第二地銀が3.3%(地銀3.5%[167兆4,465億円]、第二地銀2.5%[44兆9,108億円])、信金が1.2%(62兆5,734億円)となっています。都銀の伸び率は2月1.6%、3月1.3%、4月1.1%と鈍化している一方で、地銀・第二地銀は2月3.2%、3月3.2%、4月3.3%、信金は2月0.9%、3月0.9%、4月1.2%と伸び率が拡大しています。
大手銀行の貸出伸び率が一服した理由について、日銀では円安によって外貨建て貸出しの円換算額が縮小したこと、電力会社やREIT(不動産投資信託)向けの大口貸出が一服したことが要因と見ています。一方、地銀・第二地銀、信用金庫の伸び率が拡大したことについては相続税対策のアパートローンが堅調であるほか、中小企業向け貸出が拡大していることが要因と見ています。
貸出平均残高の伸びが堅調です。日本銀行が推し進めてきた量的緩和策がじわじわと効いていると言ってよいのではないしょうか。特に地方銀行・第二地方銀行、信用金庫は伸び率も拡大してきており、国内の景気回復が鮮明になっていることも貸出を伸ばしている要因の1つと言えますが、相続税対策の土地活用の提案や中小零細企業のM&A、住宅ローンなど地域密着ならではのビジネスが功を奏しているようです。
もともと相続税対策などの提案型営業は都銀が得意とするところでしたが、ここ数年は地銀や信用金庫でも専門の部署を設けるところが多く、その効果が表れているといったところでしょう。地域に根差した情報収集は都銀ではなかなかできないところであり、集金や定期訪問を得意としている地域金融機関の強みが数字になって表れたと言えます。今後は中小企業の海外進出支援、ビジネスマッチングなどでどれだけニーズを掴むことができるかといったところが更なる伸び率拡大につながるのではないでしょうか。
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