要旨
◆本稿では、総務省「全国消費実態調査」における30歳未満の単身勤労者世帯の食費内訳の変化を確認したところ、男性では「外食離れ」・「アルコール離れ」をして、家で料理をしたり調理食品を食べるようになっている様子がうかがえた。
◆一方、30歳未満の単身勤労者世帯の女性では「外食離れ」のほか、男性並に働く女性が増えた影響か、家で料理をすることが減り、調理食品を食べるようになっている様子がうかがえた。
◆男女の食費内訳を比べると、外食は男性、食材は女性で多い傾向があるが、支出額の男女差はバブル期より縮小しており、食料費内訳における性差は薄まっていた。
◆「外食離れ」の背景には、若年層の厳しい経済環境による節約志向や国民的な健康志向の高まりのほか、外食産業の多様化・価格競争の激化等の恩恵を受けていることもあげられる。現在では安価で高品質な外食サービスが増えている。
◆「アルコール離れ」については、厚生労働省「国民健康・栄養調査」の飲酒習慣率も確認すると、この10年余りで20代男女の飲酒習慣率は半数以上低下し、確かに「アルコール離れ」をしていた。なお、男性では30~50代でも「アルコール離れ」をしており、今、飲酒が増えているのは高齢男性と30代以上の女性であった。
はじめに
1989年のバブル期と2014年を比べると、男女とも可処分所得が増えているにも関わらず、消費支出は減っていた。また、消費支出の内訳を見ると、男女とも食料費や被服費が減り、住居費が増えていた。
なお、食費は1989年以降、男女とも減少傾向にあり、直近ではバブル期と比べて3割程度も減っていた。また、男女の支出金額の差を見ると、多くの内訳項目で男女の金額差が小さくなっており、消費内容の性差が薄まっている様子がうかがえた。
第三弾の本稿では、食料費の内訳の変化に注目する。世間では若者の「アルコール離れ」や「外食離れ」など、若者の「○○離れ」がよく言われるが、実際はどうなっているのだろうか。現在の若者の特徴をよりイメージしやすくするために、バブル期の若者と対比していく。