2016年7月11日。参院選では与党が圧勝し、豪州でもメディアや新聞で報道された。安倍首相の掲げるアベノミクス飛躍に向けて大きな期待がかかる中、達成しなければならないデフレ脱却などの課題なども取り上げられた。今回の参院選の結果についての報道と豪州での声をまとめてみよう。

世界で通じる経済言語「Abenomics」

「Shinzo Abeが圧勝した」。豪州のメディアは「総ざらい・一掃」 という意味を持つ「Sweep 」という言葉を使って安倍首相の勝利を伝えた。安倍首相が期待されること。それは政治的勢力の拡大ではなく、目の前に置かれている最重要課題である「アベノミクス」の成果を出すことでもあると伝えらた。

「Abenomics=アベノミクス」は今や世界に通用する経済用語になった。財政出動、金融緩和、成長戦略を柱とした経済政策の3本の矢。このアベノミクスが長期デフレ脱却への最終的な足掛かりになることを祈るばかりであるが、今回の圧勝で突き付けられた課題は「結果」を残すこと。すなわちデフレに終止符を打つことではないかと厳しい声が飛んだ。

豪州の一部の反応としては、安倍首相の失敗を敗退と見ない日本人の政治のとらえ方に対して「信頼が根付いているのは?」と言葉を足した。

安倍首相が日本の顔となってから3年6カ月、日本経済を率いる地位に居ながら、あらゆる挫折や失敗を経験してきた。そういったネガティブな結果やプアなパフォーマンスが続いたのにもかかわらず、豪州では「逆境を乗り越えた」という部分を前向きに報道しているメディアもある。

121議席中70席を確実なものにしたのは何なのか?安倍首相の戦略にお見事と首を縦に振るジャーナリストもいた。

圧勝と言うより楽勝−−豪州メディア

豪州メディアでは自民党が高議席を獲得した結果を受け、「今回の参院選は楽勝であった」と、過酷な選挙戦ではなかったことを知らせ、予想通り自民党圧勝、しかも楽勝したと伝えた。

あるメディアのエコノミック・コメンテーターは「そうは言いながらも、これからが正念場である」と続け、財政の刺激策を用いながら経済へのテコ入れを本格的に始動しなければならないと辛口なコメントを告げた。