相場格言,卵が生まれるまで卵を買うな
(写真=PIXTA)

「梅雨の期間が平均より短い年は梅雨の間に株価上昇」のアノマリー

5月からクールビズが始まったが、5月中旬以降、例年になく全国的暑い夏日が続いていた。熱帯夜(日最低気温が25℃より下がらない日)の日数は、70年代から増加傾向にあるが、東京では10年の56日をピーク(過去最高)に減少し11年、12年と49日、13年39日、14年29日、15年は8月7日まで猛暑日(日最高気温が35℃以上の日)が連続8日と観測史上最多を更新したものの、その後暑さは和らぎ熱帯夜26日だった。

過去の気候変動サイクルから見て16年は15年より残暑で熱帯夜が増えると予想する。年初から5月末の台風発生数は、11年から13年は各2、14年5、15年7に対して16年は5月11日現在ゼロと1998年以来の少なさである。1998年は全国的に暖冬で、春は記録的な高温、7月も高温多湿だった。

気象庁は5月12日発表のエルニーニョ監視速報(次回は6月10日14時発表)で、14年夏に発生したエルニーニョ現象(暖冬の年は冷夏の傾向)で14年、15年ともに冷夏の可能性があると発表したが、実際は猛暑だった。気象庁は、エルニーニョ現象(暖冬)が16年春頃に終息し、夏はラニーニャ現象が起こる可能性が高いと発表した。ラニーニャ現象では猛暑になる。エルニーニョとラニーニャが同年中に起こる異常気象だ。

過去のラニーニャ現象発生時期と日経平均株価の動きを重ねると、ラニーニャ現象発生時期に株価が上昇する確率が高い。

気象庁が5月25日(次回6月24日14時)に公表した「3ヵ月予報」によれば6月から8月までの天候は、北・東日本で平均気温が平年並みまたは高い確率がともに40%、西日本で平均気温が高い確率が50%で、降水量は北・東・西日本で平年並みまたは高い確率がともに40%である。

降水量となれば、梅雨で、10年以降の関東甲信地方の梅雨入り梅雨明けの時期を見ると、6月初旬に梅雨入りし7月初旬に梅雨明けである。15年は6月3日頃に入り7月10日頃に明けた。「梅雨の期間が平均日数(関東甲信は41日)より短い年は、梅雨の期間に株価が上昇する」とのアノマリーもある。

不透明な政局や為替・増税問題 サマーラリーは輸出より内需

さて、気候は暑いと予想するが、企業業績は寒いようだ。17年3月期の上場企業の経常利益見通しは、製造業は0・5%減益、非製造業は7・5%増益、全体で2・7%増益とほぼ横ばいである。7月1日発表の日銀短観(6月調査)は、厳しい内容となろう。

主要企業の17年3月期計画の前提レートは1ドル105円~110円、他方、3月調査(日銀短観)の大企業・製造業の想定レート1ドル117円46銭と比較して、円高の前提であり大企業の業況判断は悪化していよう。為替に加え、参議院選挙や消費税、熊本地震などの影響も不明となれば、3月調査より厳しくて当然で、3~5月期に続き7月下旬から4~6月期の決算発表が始まるが、油断はできない。サマーラリーは輸出関連より内需関連となろう。

2月16日から日銀のマイナス金利政策(一部分の当座預金にのみマイナス金利を適用)が実施され、民間銀行は日銀への当座預金を減らし、東京五輪のバブルを狙う不動産などへの貸出を増やすだろう。全国銀行協会の貸出を見ると、全国銀行の貸出金は4月末時点で、前年同月末比12兆862億円増(2・7%増)で、前年同月末比で増加は56カ月連続。

そのうち都市銀行(5行)は、前年同月末比1兆3242億円増(0・7%増)と前年同月末比で増加は42カ月連続と着実に追加緩和の成果が出ているようだ。6月以降は、GDP600兆円に向けた「成長戦略」の対象となるIoT、AIなど第4次産業革命や観光立国など関連業界への貸出が増加と考える。ただ、成長戦略自体は、昨年その概要が報道されており、関連銘柄の株価に織り込み済みと相場の物色対象外だろう。