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(写真=PIXTA)

良い物件さえ手に入れば、自動的に継続して家賃収入が得られると楽観的に考えている方も少なくないでしょう。しかし、実際には様々なリスクを把握し管理する能力がなければ、不動産の賃貸経営は失敗します。

そこで今回は、アパート経営で起きた4つの失敗例をご紹介します。これらを通して、賃貸経営におけるリスク管理の必要性を理解していただければと思います。

実際に起きた不動産投資の失敗例

1. 地方の「高利回り」アパートを管理会社任せにした

地方のアパートは都心に比べると手が届く範囲の価格帯の物件も多く、高利回りで短期間に高い収益を獲得したい投資家から人気がありまます。こうした物件を手に入れるには、地方の不動産仲介会社とやり取りをします。

この仲介会社が管理業務を行っていない場合、物件管理は別の管理会社に依頼することになりますが、ここに大きなリスクが潜んでいます。

地方のアパートの高利回り物件は、ほとんどが築古の木造アパートです。古いアパートは、近隣相場より賃料が安めというメリットがありますが、入居者が決まりにくいことがあります。そのため、何より「入居を決める力が強い」管理会社が必要不可欠です。なぜなら、売買価格が安くて表面利回りが20%~25%というアパートも、空室だらけでは赤字になる可能性があるからです。

自分が住んでいない地方の不動産経営では、頼れるのは管理会社しかありません。管理会社の客付けや建物管理、入居者対応がしっかりしていないと、リスクはかなり高まります。

こうしたリスクがあるにも関わらず、面識のない管理会社に物件管理を任せたことでアパート経営に失敗するケースが多いのです。買った後は、管理会社に依頼さえすれば上手くいくというものではないのです。物件選びと同じくらい慎重に管理会社は選ばなければなりません。

2. 「損益通算」に甘えて経費を多用したサラリーマン

近年、「サラリーマン大家さん」といわれる不動産投資家が増えてきており、インターネット、ブログ、講演会などでカリスマ大家さんが活躍しています。サラリーマン大家になった場合のメリットはたくさんありますが、リスクもあります。その中の一つが「損益通算」に関連したリスクです。

損益通算とは、サラリーマンとして会社からもらう所得と賃貸経営による所得を合算し、全体の所得から、賃貸経営の赤字分を相殺することです。例えば、サラリーマンの所得が400万円で賃貸経営の赤字が100万円であれば、所得は400万円 - 100万円 = 300万円となり、この300万円に対して所得税がかかることになります。賃貸経営が赤字だったことで結果的に税率は下がり、納税額も少なくて済むのです。損益通算による節税は、不動産投資のメリットの一つとされています。

しかし、あるサラリーマン大家さんは、この「損益計算」が原因で大きな失敗をしてしまいました。

その大家さんは、アパート経営の損益通算による節税目的のために、経費を多用し、不動産所得の赤字を極力増やしていきました。ところが、ある日建物に急な修繕が必要となりました。運悪く同じタイミングで家賃滞納や退去者による空室が重なってしまい、家賃収入が一気に減少しました。

しかし、損益通算の赤字を増やすために経費を使いすぎていて、手元に残るお金は少なくアパートローンの返済のためのキャッシュが手元に残らなくなってしまったのです。そこで貯金を切り崩しながら賃貸経営を継続するか、アパートを売却するかの選択が迫られる事になり、売却を選択しました。売却益ではローンを完済する事が出来ず借金だけが残りました。

確かに節税は大切です。しかし、「アパート経営で赤字になっても節税になるから問題ない」と考えるのは本末転倒です。節税や経費ばかりを意識してしまうとこのようなリスクが発生します。そうならないために、手持ち資金の管理を優先すべきです。