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(写真=PIXTA)

「いよいよか」-日本経済新聞がセブン-イレブン(以下、セブン)の沖縄進出を報じた6月28日、多くの関係者や沖縄県民は思ったに違いない。実現すれば同社が進出していない、いわゆる空白県が全て埋まる。

人口減少・高齢化で縮みゆく国内小売市場で、数少ない成長地域と目される沖縄では、既に540以上のコンビニ店がひしめいている。市場の8割以上を占める大手3社が繰り広げる、コンビニ戦争はひときわ激しくなりそうだ。

業界トップのセブンが20年遅れで沖縄進出?

直接取材に基づく今回の報道で、セブン-イレブン・ジャパン社長に就任したばかりの古屋一樹氏は「2~3年のうちに沖縄に進出する」と述べたという。これとは別に、かねてからセブン参入の可能性を指摘してきた、地元紙の沖縄タイムスもセブンが2018年に沖縄に進出し、300店舗体制を目指すと報じている。会社は正式にコメントしていないが、これらの報道を否定しないところをみると、実際に進出を決めた可能性が高い。

セブンは14年に愛媛、15年に高知、16年に青森と鳥取に初出店し、現在は沖縄が唯一の空白県だ。これに対し、ファミリーマート(以下、ファミマ)とローソンはかなり前から全国展開している。業界トップに君臨してきたセブンが、ようやく全国制覇にこぎつけるというのは意外な感じもするが、これは同社が「ドミナント戦略」を取っているからだ。

ターゲット地域に出店を集中させ、サプライチェーン(商品の製造・配送網)や広告・集客の効率を上げることで、新規店の黒字化・採算向上を早める「ドミナント戦略」は、セブン創業時から収益成長の原動力となってきた。沖縄進出はファミマが1987年、ローソンは1997年とほぼ20年以上も前。セブンは過去に何度もほのめかしながら、これまで進出を見送ってきた理由はなにか。

「沖縄らしさ」を取り入れたのが、ファミマの勝因

理由はいくつか考えられるが、ひとつは沖縄という土地柄にありそうだ。ご存知の方も多いと思うが、現在の沖縄は1879年(明治11年)までの450年間、独立国家の琉球王国として東シナ海の中継貿易で大きな役割を果たしていた。その後1895年の日清戦争の結果、琉球全域に対する日本の領有権が確定した。

島によっては台湾が肉眼で見えるほど近く、同じ亜熱帯気候で伝統や食文化の類似点は多い。沖縄では他の46都道府県におけるやり方が通用するとは限らないのである。また、鹿児島からの距離が600km以上あるため、隣県のサプライチェーンを活用する形のドミナント方式は使えないため、県内で新たに独自網を構築する必要がある。

実際、沖縄の独自性に対応できず苦労したのがローソンである。1997年、一挙に20店舗を出店し、高らかに「全国制覇」を宣言したが先行するファミマを追い上げるには至らなかった。「本土」のやり方をそのまま持ち込み、県民に受け入れられなかったからだ。

これに対しファミマは、現地流通大手「リウボウグループ」とエリアフランチャイズ方式(リウボウ51%:ファミマ49%の2社合弁)で「沖縄ファミリーマート」を立ち上げている。現地を知り尽くした同グループのネットワークとノウハウを活用して、「タコライス」や「ゴーヤ弁当」など独自の商品開発・品揃えを展開し、順調に成長していた。