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(写真=PIXTA)

公立高校無償化と同時に、国立・私立高校についても、授業料の一部が減額される「高等学校等就学支援金制度」がスタートした。

2014年4月より「高等学校等就学支援金(新制度)」が始まり、国公私立問わず支援金制度が導入され、所得制限も始まった。受給資格を得るためには申請が必要となった。自ら申請しないと支援金はもらえない。

最初に前提として、所得制限の導入となってしまったので公立高校に通うまたは通う予定のあるお子さんのいる家庭では、所得制限にかからないか、チェックする必要がある。

高校無償化の対象外になる家庭とは

以前は所得制限がなかったが、2013年11月27日には参院本会議で改正高校無償化法が可決、成立した。これにより一定の収入金額以上の家庭では、高校の授業料が有料となっている。

一定の収入金額以上の家庭とは、おおよそ年収約910万円以上である。共働きの場合は、夫婦それぞれの金額を合算しなくてはならない。離婚している場合は、親権者には該当しないため合算する必要はない。

親権者ではない祖父母の収入があったとしても、祖父母の市町村民税所得割額は判定基準額には算入しなくてよい。まずは該当するか否か確認しよう。

30万4200円未満であれば就学支援金が受けられる

どこをみればいいかというと、「市町村民税所得割額」だ。制限の対象となるのは「市町村民税所得割額」が30万4200円以上の世帯。

これはいわゆる住民税の算出の元となる金額で、サラリーマンであれば「特別徴収税額の決定通知書」の「所得割額」を見ればわかる。

この書類は、毎年6月に会社から給料明細とともに渡されるのが一般的である。また住宅ローン控除額がある人は、その額を所得割額に加算した金額となってしまう。

年収約910万円以上でも対策はある?

ボーダーラインすれすれで所得制限に引っかかってしまう世帯は「ふるさと納税」を賢く利用するのもよいだろう。

ふるさと納税は、所得税や住民税を軽減するだけでなく他の所得制限によって恩恵を受ける際もメリットがある。この機会に、あわせてふるさと納税サイトをみてみるのはいかがだろうか。

どの程度支給されるのか 入学金などはどうなる?

支給額を確認しておこう。国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程は月額9600円だ。公立高等学校(定時制)、公立中等教育学校の後期課程(定時制)は同2700円、公立高等学校(通信制)、公立中等教育学校の後期課程(通信制)は同520円、国立・公立特別支援学校の高等部は同400円だ。そしてこれら以外の支給対象高等学校などは月額9900円となっている。

これには加算額もあって、私立高等学校、私立中等教育学校の後期課程、私立特別支援学校、国立・公立・私立高等専門学校、公立・私立専修学校、私立各種学校については、世帯の収入に応じて、月額9900円を1.5~2.5倍した額が支給される。

無償なのはあくまで月額9900円の授業料のみで、入学金や教科書代、修学旅行費、部活動費などは無償の対象にならない。

支援金は学校設置者(都立高校なら東京都、私立なら学校法人など)が、生徒本人に代わり受け取るものであり、生徒本人や保護者が直接受け取るようなものではありません。学校によっては、一旦授業料全額を徴収し、後日、就学支援金相当額を還付する場合もあるようだ。

具体的に必要な手続き

原則、入学時の4月に下記の書類を学校等に提出しなければいけないから、既に入学している生徒は対象にならない。「我が子が来年、入学する」という保護者は忘れずに申請しよう。

受給資格認定申請書(学校を通じて配布)と市町村民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等)が必要だ。

この手続きにより受給資格の認定を受けた後は、原則、毎年7月に書類を学校等に提出する必要がある。

このような制度を知らないのと知っているのとでは、家計に大きな影響が出る。年金も同様だが、自ら申請しない限り自治体は支援金などを支給してくれるようなことはない。所得制限がボーダーラインあたりなら、ふるさと納税なども年内に検討してみてはいかがだろうか。

眞喜屋朱里(税理士、眞喜屋朱里税理士事務所代表)