(写真=Thinkstock/Getty Images)
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今日あなたはお金をいくら使っただろうか。そして、それにはいくらの価値があっただろうか。私たちは生きていくうえでお金を稼ぐ必要があり、そして稼いだお金を使っている。しかし、自分が稼いで使っているお金の価値についてはあまり意識していないのではないだろうか。

今回はファイナンス理論の観点からお金の価値についての考え方について解説していこう。

1000円札の価値は1000円ではない

昨日の昼食代としてあなたが使った1000円の価値は本当に1000円なのだろうか。答えは否である。1000円札の価値は1000円とは限らない。1000円が1万円の価値を持つこともある。そのように考えると、実は今日あなたが昼食代として支払ったのは1万円だったという解釈もできるということになる。ではなぜ、1000円が1万円の価値を持ちえると考えることができるのだろうか。

ファイナンス理論で学ぶ重要な考え方に「将来価値」と「現在価値」というものがある。私たちは日常生活でお金を紙幣や硬貨に記されている金額でしか意識していないが、ファイナンス理論ではこれに「時間」という軸を加える。時間軸を加えることで、お金は様々な価値を持つようになり、1000円も1万円の価値を持つことが可能になるのだ。

普段私たちが意識していない時間とお金の関係を知れば、これからのお金の使い方が変わるかもしれない。では、将来価値と現在価値とは一体何だろうか。

将来価値と現在価値とは?

将来価値と現在価値がわかりやすくなるように単純化した例を見てみよう。たとえば、銀行に預金すると金利が年間10%つく世界を考えてみる(今の水準からは考えられないが便宜的に)。

この世界では銀行に預金した1万円は1年後には1万1000円になる。つまり、現在の1万円は1年後の1万1000円ということになる。これが将来価値である。逆に言えば1年後の1万1000円は現在の1万円ということになり、これが現在価値ということになる。このように、時間軸に金利などを加えることでお金の価値は大きく変わってくる。ファイナンス理論ではこの金利のことを割引率という。単純に式にすると以下のようになる。

現在価値=将来価値÷(1+割引率)
将来価値=現在価値×(1+割引率)

この式を先ほどの例に当てはめてみると以下のようになる。

1万円(現在価値)=1万1000円(将来価値)÷(1+10%)
1万1000円(将来価値)=1万円(現在価値)×(1+10%)

これは単純に1年後を想定した場合であるため複数年になる場合は割引率を乗じていくことになるが、基本となる考え方は同じである。割引率を考慮に入れることで、お金の価値は変わってくるのだ。

つまり、同じ1万円なら1年後にもらうよりも今もらったほうが1年という時間の中で利息がつくためお得ということになる。あるいは、いま1万円をもらうか1年後に1万1000円をもらうかという問いに対しての答えは割引率(金利や利回り)次第ということになる。