住宅ローン,比較
(写真=PIXTA)

人生の大きな買い物であるマイホーム。住宅購入者のほとんどが、住宅ローンの借り入れを利用した購入となっている。住宅ローンは複雑で、金利の比較は簡単だが、自分にぴったりな住宅ローンとなるとすぐに答えを見つけることができない。

住宅ローンを比較するときは金利だけでなく、金利タイプ、返済総額、諸費用、付加サービスを見比べ総合的に判断することが大切。その比較の方法を見ていこう。

目次

  1. 住宅ローンを比較する3つのポイント
    1. 1. 金利タイプを選ぶ
    2. 変動金利
    3. 当初固定金利
    4. 全期間固定金利
    5. 2. 総支払額で比較
    6. 3. オリジナル特典で比較
  2. 住宅ローンの初期費用を比較する
  3. 住宅ローンの金利はどうやって比較する?
    1. 保証料
    2. 手数料
    3. 金利優遇条件
    4. 繰り上げ返済手数料
    5. 固定金利(5年、10年、35年)
  4. 繰り上げ返済の費用や条件を比較する
  5. 最後は総合コストで判断する

住宅ローンを比較する3つのポイント

1. 金利タイプを選ぶ

金利タイプには変動金利、当初固定金利、全期間固定金利と大きく分けて3種類ある。

変動金利

変動金利は、景気に左右され半年に一回のペースで見直される金利タイプのことである。

不景気になると金利は低くなり、好景気になると金利は高くなる。他の金利タイプと比較すると金利は低く設定されており、不景気が続くと低金利のまま維持できるというメリットある。しかし金利が上がってしまった場合は総支払額が増え、将来は金利が高くなるか低くなるのか予想がしにくく、返済計画が立てにくいのがデメリットだ。

当初固定金利

当初固定金利は、はじめの数年間は固定金利で一定の金利が適用され、その期間が過ぎると変動金利に切り替わるタイプのことである。

3年、5年、10年といったものが多い。最初の数年間は金利が抑えられているため、住宅購入時期と同時期に子育てや教育など、大きなライフイベントが控えているタイミングなら使いやすい金利プランだ。当初期間が過ぎると金利が高くなるリスクがあるので注意が必要だ。

全期間固定金利

全期間固定金利は、借り入れから完済までずっと同じ金利が設定されている金利タイプのこと。

金利の上昇リスクがなく、返済計画が立てやすいというメリットがあるが、設定される金利が他の金利プランよりも高めで景気が悪い状態が続くと高い金利で支払い続けることになる。30年、35年など長いものが多い。

2. 総支払額で比較

金利と諸費用でシミュレーションすると総支払額が計算される。諸費用の中には保証料や手数料があるが、金利を0.2%ほど押し上げることになる。少ない数字に感じるが3000万円の借り入れの場合だと200万円〜300万円の負担になるので無視できない存在である。

3. オリジナル特典で比較

住宅ローンは競争が激化しており、各金融機関は様々なサービスを開発している。住宅ローンの借り入れには団体信用生命保険に入るのが普通だが、介護状態になったら残りの返済が免除されたり、がんや8疾病保障がついていてそれらの状況になったら支払いが免除されたり、イオングループの割引が受けられたりと、それぞれ特徴がある。自分が求めているサービスに近いものを選ぶと良いだろう。

住宅ローンの初期費用を比較する

初期費用とは住宅ローン契約時の諸経費のことである。初期費用には定率型と定額型がある。ネット銀行系では、保証料が0円で、事務手数料が借入額の2.1%というところが多くみられる。

この場合、3000万円の借り入れに63万円の費用がかかる計算になる。これが定率型だ。一方、ソニー銀行や新生銀行など、事務手数料を借入額に対しての割合ではなく、一律で5万円、4万2千円という63万の1割以下の低価格にしている銀行もある。これが定額型である。

住宅ローンの金利はどうやって比較する?

金融機関の住宅ローンはどれも似たり寄ったりと思っていないだろうか。しかし、同じ借り入れ金額3000万円でも金利0.5%のものと、金利2.5%のものでは、総支払額がトータル1000万円近くも違ってくる。必要なポイントをしっかり検討しよう。

保証料

表面的には低い低金利でも保証料がかかるものには注意が必要だ。保証料は一般的に0.2%程度金利を押し上げると言われている。大抵の金融機関では借り入れ条件に保証会社による保証を受けることを定めている。この保証料はなんのメリットもなく借り入れを行なっている金融機関のためのものである。住宅ローンによってはこの保証料を0円にしている会社もある。

手数料

保証料を安くしたり、無料にしたりする一方、手数料を高く設定している金融機関も存在する。こちらも0.2%ほど金利を押し上げると言われているので十分考慮にいれておきたい。

金利優遇条件

金利優遇条件で低い金利を設定しているところもある。一番多いパターンは、給与振込口座を指定すると金利を低くするというところ。もし、便利な金融機関のものであれば、ぜひ利用しよう。

繰り上げ返済手数料

住宅ローンにおいて、金利を選ぶのと同じぐらい大切な繰り上げ返済。その繰り上げ返済に、条件がついており手数料がかかるものや、最低返済価格が決まっているものもある。繰り上げ返済を活用する場合は繰り上げ返済手数料が無料のものを選びたい。

固定金利(5年、10年、35年)

固定金利には最初の5年・10年間が固定で後は変動金利になるものと、35年間完済まで固定金利で変わらないものとがある。金利は固定期間が短いほど低い傾向にあるので、子どもが大学に通う数年間だけ支出を抑えたいなど、将来よりも今の返済を抑えたい方に向いている。

長期間にわたって支払いを続ける住宅ローン。金利の動向についても学んでおこう。

2016年はゼロ金利政策により過去にないほどの低金利時代。しかし、過去の30年間を振り返ってみると住宅ローンの金利が今の何倍もしていた時代があった。20年前には10年固定金利が8%というときもあり、それから考えると今の10年固定金利は0.8%程度と過去の1/10。

だが、この良い状態がいつまでも続くとは考えず数年ごとに見直すことが必要だ。

繰り上げ返済の費用や条件を比較する

繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別にまとまった金額を臨時に返済すること。繰り上げ返済は支払うはずだった利息まで払うため、総支払額が大きく減ることになる。
繰り上げ返済の利用条件は各金融機関によって異なり、どのように利用したいかによって選ぶがポイントとなる。繰上げ返済の手数料、繰り上げ返済できる最低金額、繰り上げ返済の利用回数、繰り上げ返済の手続き方法など比較してみよう。

一部の繰り上げ返済は、手数料が無料のところが多いが、全額繰り上げ返済をする場合は手数料が必要になることが多い。積極的に活用するなら、無料の金融機関を選びたい。次に最低金額だが、1円単位から可能なところもあれば、100万円以上でなければ受け付けないところもある。

こまめに繰上げ返済を行う場合、最低金額の小さいものを選ぶのがベスト。利用回数によって手数料が取られるところもあるので、できれば手数料無料のところを選んでおこう

最後の手続き方法はインターネット、電話、窓口などさまざまだ。こちらもその方法によって手数料が変わる場合があるので気をつけよう。

最後は総合コストで判断する

表面金利は安いのに、詳しく見ると諸経費が高くなっているものがあることをわかっていただけだだろうか。

この状況で、本当にお得な住宅ローンを選ぶのはなかなか難しい。住宅ローンは競争が激化しており、内容も複雑になっているため、実質金利、つまり総合コストを考える必要がある。

金額には現れにくいが各社、オリジナルのサービスに力をいれている金融機関もあり、来店不要、グループのお店での購入が5%OFFなどコスト以外でも特徴があるので忘れずにチェックしたい。各金融機関が出している数字のマジックに引っかからないよう、必ず保証料や手数料などの諸費用まで見積もっておこう。

最も大切なのは、自分がいつ返し終えたいか、いつお金が必要かのシミュレーションをしっかりしておくこと。自分にぴったりのプランを選びたい。