最近、モスバーガーを運営するモスフードサービス <3345> の株価が好調です。モスバーガー好調のヒミツを紐解いてみましょう。

日本人が大好きなハンバーガーはモスバーガー!

2016年2月27日のバズプラスニュースで日本人の好きなハンバーガーショップランキングが公開されました。いろいろな年代502人にアンケートした結果です。(参照: http://buzz-plus.com/article/2016/02/27/hamburger-japan/ )

なんとトップはモスバーガーで43.8%と圧倒的に支持されています。マクドナルドは2位で10.4%、ドムドムが3位で6.8%、ケンタッキーとバーガーキングが同率4位で5.4%、フレッシュネスが4.6%で5位でした。もちろんアンケートによって違う結果はでるのでしょうが、同種の調査ではだいたいモスが1位になります。

それほど、モスバーガーは日本人のソウルバーガーになりつつあるのです。


モスバーガー既存店の売上は3.4%増

モス人気は売上高や株価にも反映されています。

モスフードサービスの既存店売上は、2016年上期(4ー9月)で3.4%増です。見た目はマクドナルドの4ー6月既存店が15.6%増、7ー9月が17.7%増のため比べると見劣りします。でも皆さんご存じの通り、マックは昨年不祥事があり、前年同月がマイナス20%などベースが思いっきり低いのであまり参考にはなりません。

モスフードでは、値上げを行ったこともあり2016年3月期の既存店売上は7.3%増でした。それに比べるとスローダウンしているように見えますが、モスはマックの逆で、マックからの顧客が流れてきたためにベースが高いのです。今期の既存店売上の前提は1.5%増ですので、現在の3.4%増は想定を上回って好調だと言えるでしょう。

モスの成長エンジンは海外と新規事業

そもそも、モスバーガーは既存店の高い伸びを見込んではいません。2016年から18年度までの中期経営計画では、「世界に認められる日本のおいしさとおもてなし」を全社ミッションとして国内は既存店1%増の達成を死守することを目標としています。国内の人口が減少するなかで、高い伸びは元から見込んでいないのです。

むしろ成長エンジンは海外と新規事業においており、海外モスバーガー事業で400店舗を目指しています。実は海外のモスバーガーは2016年3月末で326店舗もあります。台湾だけで243店舗です。

モスの株価は2月以来の高値

2016年8月5日に、モスフードサービス <8153> が発表した2017年3月期の第1四半期(4-6月)の決算は、売上は5%増の172億円、本業の利益を示す営業利益は11億円と前年比9倍の決算と好決算でした。売上増で粗利は51.6%と前期から3ポイントも改善しています。

会社の18年3月通期期初予想の売上350億円(1%増)、営業利益35億円(9%減)を据え置きましたが、営業利益は1四半期ですでに通期予想の31%まで進捗しており、既存店の売上が想定を上回っていることから、上方修正の可能性もあると予想されます。

株価は6月の年初来安値の2770円からじり高で、10月13日には2月以来の高値3370円を付けています。これも11月上旬頃発表する中間決算を期待して上がっている可能性が高いでしょう。

モスとマクドナルドを投資先として比較すると

ここで、モスフードサービスと日本マクドナルドの比較をしてみましょう。モスフード <8153> は今期売上予想715億円、最終益予想19億円、時価総額1070億円、PER54倍。日本マクドナルド <2702> は今期売上予想2200億円、最終益予想10億円、時価総額3950億円、PER395倍です。 利益率、PERなどから見るとマクドナルドの割高感が目立っています。

それでは、株価のパフォーマンスはどうでしょう。一年前の株価を100として相対比較してみると、モスフードは128程度、マクドナルドは111程度。モスバーガーがアウトパフォームしています。

マクドナルドの既存店売上が2016年1月から前年比で大幅増となったこともあり、2月から7月まではマクドナルドがモスバーガーをアウトパフォームする局面もありましたが、8月のモスの第1四半期の決算発表以降はまたモスの上昇が目立っています。

万年2位のモスバーガーの逆襲が始まったのです。

フレッシュネスがモスを追撃! ハンバーガー業界のこれから

2016年10月14日、ハンバーガー業界にビッグニュースが飛び込んできました。業界5位の「フレッシュネスバーガー」を外食大手のコロワイド <7616> が買収すると発表したのです。株式会社コロワイドの傘下で「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」「土間土間」などを展開している株式会社レインズインターナショナルが、フレッシュネスバーガーの全株式を12月1日付で取得するとのことです。

現在、業界トップのマクドナルドの店舗数は約2900店、2位のモスバーガーは約1370店、ロッテリアは約370店、ファーストキッチンは約130店です。

コロワイドは、まずは業界3位を目指しているのでしょう。今までのFC経営の実績を糧に、フレッシュネスバーガーの店舗数を現在の約160店から400店舗に増やしていく計画のようです。

世の中は今、高価格のプレミアムバーガーブームです。アメリカでもミレニアル世代に高級グルメバーガーの人気が高まっており、その売上は5年で倍になるという見方もあるようです。

アメリカのグルメバーガーが、次々と日本に進出しています。2015年7月には「ベアバーガー」が自由が丘に、15年11月には「シェイクシャック」が神宮に、16年3月には「カールズジュニア」が秋葉原に1号店をオープンしました。

モスもフレッシュネスもどちらかというと高級バーガーです。モスは2015年11月、千駄ヶ谷に高級バーガーの「モスクラシック」の1号店をオープンしています。これから高級グルメバーガー分野で日米競争が本格化します。

マーケット戦略で勝ち抜く企業に注目したい

国内の人口が減少するなかで、食品業界、外食業界は今までと同じことをやっていては成長できない時代になっています。

たとえば日清食品 <2897> は日本ではカップヌードルをあまり食べない若者や女性向けの製品を開発、海外では日清食品のプレゼンスを上げることで成長しています。

カルビー <2229> は、たまたま台風が北海道を直撃したせいでジャガイモの入荷が遅れ足元は下方修正となりましたが、フルグラをご飯、パンに続く第3の朝食として新しいマーケットを創造することで成長しています。

バーガー戦争も消費者にとっては大変楽しみです。

(提供: DAILY ANDS

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