米ウォルト・ディズニー・スタジオが今年1月から10月に稼ぎ出した、全世界における映画のチケットの売り上げが59億ドルとなり、1923年10月の創業以来、過去最高額に達したことが明らかになった。

今年のディズニーはヒット作に恵まれ、増収増益が続いている。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(Captain America: Civil War)』、『ズートピア(Zootopia)』や『ファインディング・ドリー(Finding Dory)』などは軒並み10億ドルを超える興収を叩き出し、7月にはディズニー史上初の米国内映画チケットの売り上げ20億ドル超え、全世界で50億ドル超えが達成された。

こうしたディズニー映画の快進撃の秘密は、どこにあるのか。また、「勝ち組」ディズニーに落とし穴や弱みはないのか。深堀りしてみよう。

コンテンツ力の源泉は「クリエーターの多様性」

ディズニーの豊作年は、主にディズニー本体の制作した映画ではなく、傘下の映画製作部門の働きによるところが大きい。たとえば、興収11億5000万ドルで、ディズニーの今年の稼ぎ頭ナンバーワンとなった『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は、キャプテン・アメリカのシリーズを手掛ける100%子会社のマーベル・スタジオが作ったものだ。

1993年創業の同スタジオは、2009年12月末にディズニーが買収した。DCコミックと並ぶ米二大アメリカン・コミックス出版社のひとつであり、マーベル・コミックの作品を映画化することを専門にしている。その強いコンテンツ力には定評がある。

今年のディズニー興収2位にランクインした『ズートピア』はディズニー本体の作品だが、3位の『ファインディング・ドリー』は傘下のピクサー・アニメーション・スタジオが手掛けたものだ。フル3DCGによる長編アニメーション映画『トイ・ストーリー』で有名なピクサーは、ヒット作を連発することで知られており、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』がシリーズものであることと同様、大ヒットとなった2003年の『ファインディング・ニモ』の続編であった。

ディズニー単体で一年の間にこれだけの成績をあげることは難しいかもしれないが、『ファインディング・ニモ』や『ファインディング・ドリー』のアンドリュー・スタントン監督、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のアンソニー・ルッソとジョー・ルッソ監督など、多くの優秀な人材を多くの傘下に抱えることで、幅広い層にリピーターとして映画を観てもらうことが可能になっており、そうしたクリエーターの多様性がヒット映画連発の秘密だ。