2012年7月にスタートした再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の固定価格買取制度(FIT)は、2016年11月で5年4か月が経過した。東日本大震災の福島第一原発の問題を受け、経済産業省は化石燃料や原子力発電から再生可能エネルギーに転換する政策に力を入れた。
その中でも太陽光発電は、ソーラーパネルの設置という比較的軽微な設備投資で始めることが出来るので、メガソーラーの運営やソーラーシステム装置の販売、設置工事など様々な形で参入が相次いだ。外資大手のエネルギー企業も続々と日本の太陽光発電事業に参入している。
タイのエネルギー企業が岩手県一関市に出力2万5千キロワット、米国のエネルギー会社も長野県諏訪市に出力4万7千キロワットのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設する。またフランスの石油大手のトタルは、石川県七尾市に2万6千キロワットの発電施設を2017年稼働目標に建設中だ。
外資各社が進出を企てる理由は、FIT制度下での太陽光電力の買い取り価格が世界的にも高く、利益を出しやすいと判断したためだ。政府が1千キロワット以上の「メガソーラー」の電力を買い取り対象として認めれば20年間、同じ価格で電気を電力会社に売れるのだ。
外資系発電会社は日本の事業者より発電のノウハウにたけているケースもある。国内事業者との間でコスト競争が活発になれば、将来の電気料金の負担抑制につながる可能性もありそうだ。
太陽光発電のバブルは終焉
だが、段階的な買い取り価格引き下げや業者間での競争の激化で、太陽光発電のバブルは終焉を迎え、発電業者の淘汰の時代に入っている。実際、毎年の買い取り価格は(10kw以上の場合)、2012年40円、2013年36円、2014年32円、2015年29円、2016年24円 /Kwh(すべて税別)と年々低下しており、中小の発電業者にとって厳しい経営環境が続いている。
また、最近では設備投資後のメインテナンスが想定以上に経費が掛かることから、過去に参入時の買い取り価格で政府の認定を受けた事業者が、発電業者としての権利を手放すケースが増加している。
このような状況下で、経営環境の悪化により、2016年1-9月の太陽光関連業者の倒産が42件発生し、このままのペースで行くと、年末までには去年の54件を上回り、過去最悪のペースになりそうだ。