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(写真=Thinkstock/Getty Images)

会社経営において、法人税の節税は非常に大きなウェイトを占める。だが、経済的体力にあまり余裕がない中小企業こそ、この部分を軽視しがちだ。厳密には、日頃から節税を望んではいるものの、その方法を誤っているケースが少なくない。

そこで今回は、経営者に限らず経理担当にも知っておいてほしい、法人が実践すべき節税テクニックについて解説する。


経理担当なら知っておきたい節税ポイント

法人税を節税するときに注目するポイントは、大きく分けて3点ある。1点目は、行おうとしている、あるいは行っている対策が本当に節税になっているのかどうか。これは根本的な部分だが、節税対策をしているつもりがまったくの無駄になってしまっている「節税もどき」は意外と多い。ありがちなのは、とにかく収益を目減りさせようと期末に慌てて支出を増やす方法だ。

具体的には後述するが、そこに計画性がないのであれば素直に利益を出した方が通常は有益であり、ほとんどの場合これらは無駄な出費と言わざるを得ない。

残る2点は、節税効果が継続する(一時的でない)ものかどうか、そして節税対策をいつ行うか、である。それぞれを踏まえて、具体的な方法やタイミングについて続けて解説する。

企業が節税するための具体的な方法とは

まず効果が継続する節税とは、役員報酬や福利厚生など、長期に渡って支払うことが確定している支出に対して行うものだ。会社の経営や制度そのものを見直すことになるため見るべき部分も多く時間がかかるが、相応に節税効果は高い。

節税対策としてだけでなく、会社や法人が段階的に成長していくためにも見過ごせない部分だ。

これに対し効果が継続しない一時的な節税とは、課税の繰り延べによる「支払の後回し」や、掛け金等をまとめて支払うことによる「支出の先払い」などだ。いずれも支払うタイミングが変わるだけであり、それそのものが直接法人税に影響を及ぼすわけではない。

支払いの後回しは翌期以降収益の増加が見込まれる場合の出口戦略として、支出の先払いは当期の収益が想定以上であった場合の駆け込み的節税として適している。

節税のタイミングは?

さて、これらの節税を具体的にどういったタイミングで行うかだが、まず前者、効果が長期的に得られる節税については期首、期中問わずいつでも、あるいは決算期に翌期を見越して対策するのも良いだろう。

例えば役員報酬や役員賞与は、事前に申告することで従業員給与などと同様に支出として計上することが認められているため、これを徹底するだけでも余計な収益を抑えることができる。また出張旅費規程を整備することでも同様の効果が得られる。

これらはいずれも節税効果が長期的に得られると同時に、正しく計上するために社内対応を定める必要がある。慌ただしい決算期前などに検討するべきではないだろう。

想定外の収益に対して決算期前にどうしても対策を講じたいと言った場合には、先に挙げた支払時期の調整など、一時的な節税に頼るほかない。しかし、賃料や光熱費、従業員給与などといった、支払いが確定している支出についてこれを行うことはあまりおすすめできない。恒常的な支出は経営を見直す際の指標にもなるため、時期をずらしてしまうと後々に影響がでかねないのだ。

そこで注目したいのが、資産や売掛金である。

資産や売掛金を計上する

まず会社が不要な固定資産を所持している場合、これを売却すれば売却損、廃棄すれば除却損、また災害など特殊なケースに限るが評価損など、対処次第で各種損金として計上することが可能だ。物品を取り扱う会社であれば棚卸資産についても固定資産と同様に損金計上することもできる。売掛金については、回収の見込みがなくなっていることが条件だが、近い形で損金として計上できる可能性がある。

ちなみに、回収の見込みがなくなった売掛金などの不良債権を「貸し倒れ」と呼び、これによる損失を「貸倒損失」と呼ぶが、これらはいわば確定した損失であるのに対し、貸し倒れる場合に備えて「貸倒引当金」として一部を損金計上することが認められている。貸し倒れが確定していない段階であるため適用には厳しい条件が伴うものの、もし利用できれば得られる節税効果は大きい。

節税は専門家に一任するだけではいけない

今回紹介した節税方法は、数多く存在する手段の中でもごくごく一部だ。そのすべてを理解して活用していくことは非常に難しい。だからこそ各企業は税理士など専門家へ相談をするわけだが、ひとつ勘違いしてはいけないのが、専門家が絶対ではないということ。これは決して専門家にも間違いがあるという意味でなく、プロフェッショナルの判断にも個人差があり、また対策について提案することはできても強制することはできないのである。

会社のことを最終的に決定するのはほかならぬ経営者自身であり、経営者へ真に助言することができるのは従業員であるべきだ。あなたが経営に関われる立場の人間であるならばなおのこと、これを努々忘れないでいただきたい。