ミスタードーナツ
(写真=Thinkstock/Getty Images)

日本経済にデフレへ逆戻りするような雰囲気が漂い、消費者の節約志向が高まる中、ミスタードーナツは一部商品の値下げに踏み切った。近年、小麦粉など原材料価格の高騰や首都圏での人件費上昇に伴い、主力商品を相次いで値上げしてきたが、輸入小麦に関しては円高やアメリカでの生産量の増加に伴い価格が下落傾向にある。

しかし、今回の商品の値下げは、単に原材料価格が下落したからではなく、消費者のミスド離れを食い止めようとする狙いがある。

ドーナツの販売不振で赤字拡大

ミスタードーナツを運営するダスキン <4665> は、2017年3月期連結決算の業績予想を見直し、売上高を従来の1665億円から1630億円に下方修正した。事業の中核の担うミスタードーナツの販売不振は深刻で、ダスキンの17年3月期の中間決算では、セグメント別のフードグループで売上高が前年同期比8.3%減の202億8500万円、赤字幅は同1億8800万円増の5億6500万円となった。「クロワッサンマフィン」、「和ドーナツ」、スヌーピーとコラボした「ハロウィーンドーナツ」などの商品を季節ごとに投入したものの、結果的には売上アップにつながらなかった。

ミスタードーナツの不振は、コンビニエンスストア各社のドーナツ販売の影響なしには語れない。コーヒーの販売が好調だったコンビニは、暖かい飲み物とセットで食べられるのに最適なドーナツに目を付け、セブンイレブンジャパンが2015年8月に全店でドーナツの取り扱いをスタートさせると、ファミリーマート、ローソン <2651> のライバル社も後追い。コンビニ大手のドーナツ市場への参入は、ドーナツ専門店のミスタードーナツにとっても脅威となった。

セブンイレブンで販売されるドーナツは100円〜138円(税込み)。段階的に値上げを重ねていたミスタードーナツの商品は、コンビニ・ドーナツの登場で、価格競争力を失ってしまった。毎月実施していた100円セールでは、割引対象のドーナツの販売は伸びる一方、セール価格から通常価格にもどると、消費者は高く感じ、買い控えをする傾向が続いたという。

消費者のミスド離れ、コンビニへのドーナツシフトを食い止めるべく、2008年以来8年ぶりの値下げに踏み切った。人気商品の1つ「ポン・デ・リング」は、今回の価格改定で140円から108円になった。対象商品は43品目のうち35品目に及び、値下げと引き換えに、毎月の100円セールは今後実施しない方針だ。

価格設定以外にも、ミスタードーナツがコンビニ各社に対抗する手段として、店舗で手作りした出来立てのドーナツを提供する強みがある。それを活かすために、約1300店舗のうち半数近くの店内キッチンをガラス張りにして、「手作り」「揚げたて」を来客者にアピールしてコンビニ・ドーナツとの差別化を図る。