新型レクサスLS,ミラーレス
(画像=Webサイトより)

「ミラーレス」と言えば、つい最近までは一眼レフカメラに導入された技術として話題を集め、それまで重厚感のあった一眼レフカメラにコンパクトかつ軽量化をもたらした。

今やミラーレスとして注目されるのは自動車で、ドアミラーやルームミラーをなくし、カメラとモニターで代用する新しいタイプの車が登場。トヨタ自動車 <7203> は、2015年秋の東京モーターショーで、高級車ブランドのレクサスからドアミラーをなくした「ミラーレス車」をお披露目した。トヨタがミラーレスの技術をレクサスに導入した背景には何があるのだろうか。

欧米ライバル社はミラーレス先行導入

ミラーレス車の実用化の後押しとなったのが、16年6月に改正された自動車の安全基準を定めた道路運送車両法の保安基準だ。これまでは、同法でサイドミラーやルームミラーといった「後写鏡」の設置が義務付けられていたが、これらのミラーと同程度の視野を確保できる場合、サイドミラーの代わりにカメラやモニターを導入することが認められた。

この改正を受け、自動車各社はサイドミラーに変わって取り付けられたカメラで後方を撮影し、その映像を車内モニターで映し出す技術の開発を急ぐ。カメラ映像を使用することで、後部座席に荷物があった場合でも、ルームミラーよりも後方の状況を確認しやすくなるほか、ドアミラーを取り外したことで空気抵抗が減り、燃費向上につながることが期待される。また、サイドミラーをなくして車体デザインの幅が広がることで、新たな商機ともなりそうだ。

こうした新しいタイプの車を開発する動きは国内だけにとどまらない。日本の法改正は15年国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で、ミラーレス技術を搭載した車の導入を解禁することを決定したことを受けたもので、世界の自動車メーカー各社は既にその開発に乗り出している。

アメリカのテスラ・モーターズ社は12年、国連のルール変更に先駆けてミラーレス車を発表。サイドミラーを省き、技術革新とともに曲線を流れるようなフォルムを実現した車体ボディの美しさは話題をさらった。また、ドイツのBMWは「i8」シリーズにミラーレスを導入。ドアミラーとルームミラーに代わり、3台のカメラがこれまで死角となりがちだった部分もカバーし、車内に取り付けられたモニターで確認できるようになる。さらに、メルセデスベンツもミラーレス車をモーターショーで発表し、次世代車のトレンドとなりつつある。