レクサスのミラーレス リスク覚悟でライバルに勝負

自動車の世界販売台数では、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)と首位を争うトヨタだが、高級車市場ではメルセデスベンツやBMW、さらにはアウディなどライバルがひしめいている。

この土俵では、安全性や高性能が求められるほか、重厚感のある車体デザインも重要な決め手となってくる。欧州の自動車メーカーの車体は、品格が漂いながらも、ずっしりとした存在感が一目置かれている。その重厚感に太刀打ちするためにもミラーレスがキーとなりそうだ。

ミラーレス技術の導入により、ドアミラーが取り除け、その分のスペースを車幅拡大に充当させ、車体サイズのアップが可能となる。これにより、大型化で実用性が低下するリスクを回避しながら、欧州メーカーの高級車にも引けをとらない迫力の車体サイズを実現することが可能となり、高級自動車市場でレクサスがライバル社に攻勢をしかける。

しかし、ミラーレスには安全面でのリスクも潜む。サイドミラーやルームミラーでの目視には、死角が存在するかもしれないが、走行中にトラブルで後方が確認できなくなる可能性は低い。

一方、カメラモニターを使用したミラーレス車では、電気系統もより複雑になり、不具合が発生した際、安全をどのように確保するのか課題も多い。技術大国・日本の自動車メーカーとしては、この分野で世界をリードして新しい自動車の潮流を作り出したいところだろう。しかし、技術革新への期待が過度に高まり、安全性がないがしろにされないか注意が必要だ。

自動車の安全性を巡っては、タカタ <7312> がエアバッグのリコール(回収・無償修理)問題に揺れ、その費用は1兆円規模に上るとみられる。アメリカでは、タカタ製エアバッグの異常破裂などが原因とみられる事故で11人が犠牲となっており、車の安全性にユーザーが敏感になっている。

2017年にも販売とみられるミラーレス技術を搭載したレクサスだが、タイミングとしてはミラーレスの新しい技術を手放しで歓迎するような雰囲気は市場に漂っていないのが実情だ。新技術を搭載し、車体のデザインもライバル社に引けを取らないレクサスは、前途多難の船出となりそうだ。(ZUU online 編集部)