井村屋,あずきバー,やわもちアイス
(画像=Webサイトより)

厳しい暑さが続いた今年の夏、少しでも体を冷やそうとアイスクリームに手を伸ばした機会も多かったのではないだろうか。

アイスの定番「あずきバー」を販売する井村屋グループ <2209> は、アイスクリーム商品の販売が好調に推移し、2017年3月期第2四半期連結決算で、純利益が前年同期比約3倍となる4億4300万円と、中間期で過去最高益をたたき出した。猛暑という天候以外の要素で、好調な業績を支えた秘訣に迫る。

あずきバー売上2億本突破

同社の中間決算の内容を詳しくみると、売上高が前年同期比11.1%増の199億9000万円、営業利益は同2.5倍となる7億3900万円まで拡大した。井村屋は、11月の中間決算の発表前に、主力商品のあずきバーの売り上げが好調なことから、業績を上方修正。従来予想は純利益を1億8000万円と見込んでいたことから、同社の予想以上に売り上げが伸びたことが伺える。

発売以来40年以上経ったあずきバーは、おしるこの味をそのまま凝縮してアイスで楽しめる定番商品。一度は口にしたことがある人も多いだろうが、16年4月-9月の半年間の売り上げは前年同期比で8.4%伸び、2億1700万本に達した。独特の固さのあるアイスクリームは、今年の夏、日本人が少なくとも1本は口にした計算になる。

これまで井村屋の夏商戦は、あずきバーがけん引してきたが、新たな柱になりそうな「やわもちアイス」シリーズもヒットに恵まれた。2016年3月に販売がスタートした「やわもちアイス(わらびもち)」は、同社の独自の技術でもちの食感をアイスで表現し、癖になる口当たりが消費者から支持を集めた。このシリーズは、わらびもちに加え、つぶあんミルク、抹茶つぶあん、京きなこつぶあんのフレーバーがカップタイプ、最中タイプでそれぞれ販売中だ。

やわもちシリーズの売り上げは、前年同期比から11億800万円増と大幅に伸び、あずきバーと並ぶツートップとして井村屋を支えるまでに成長してきた。商品のヒットに加え、コスト面での取り組みも業績のアップに貢献。バイオマスボイラの稼働率を向上させたことで動燃費が減少したほか、16年5月に竣工した冷凍倉庫「アイアイタワー」が設備投資効果を発揮し、保管料削減につながった。さらに、グループとして無駄を排除した生産性の向上で、原価を抑えたことも奏功した。