何故、三浦工業がPM2.5の恩恵を受けるのか?
前ページでは、中国のPM2.5問題と三浦工業について概観してきました。ここでは何故、三浦工業が恩恵を受けるのかについて見ていきます。
中国のPM2.5の問題に対して、中国政府はどのような対策を打ち出しているのでしょうか? 政府は汚染源となる小型の石炭ボイラー5万台や老朽車両600万台を年内に淘汰する目標を掲げ、「貧困対策と同様に、汚染に対しても宣戦を布告する」と訴えています。 この淘汰に当たって政府は補助金も出すなどして、年内での達成に本腰を入れて取り組んでいます。
中国では火力発電所に関しては約77%にPM2.5の一つである低NOx(窒素酸化物)の燃焼技術が採用されています。しかし、工業用の石炭焚きボイラーについてはほぼ全てに脱硝装置がつけられていない状況です。このため、政府はこの工業用の石炭焚きボイラーを脱硝装置のついた環境負荷の低いボイラーに取り替える方針を打ち出しています。
また、地域ごとの施設として①環境補助金交付・石焚きボイラーの新設禁止②輸入ガスパイプライン及びLNG基地の整備が挙げられています。 そしてこの方針が三浦工業に恩恵をもたらす可能性が極めて高いと考えられます。 というのも、三浦工業は産業用小型貫流式ボイラーに関して世界一の技術を持ち、環境負荷の低いボイラー開発に注力してきました。 また、三浦工業は成熟した日本市場に加え、新たな市場を求めてこれまでも海外進出に積極的ではありましたが、日本:海外売上比率で国内が約90%に留まっているなど、進出が思うように進んでないのが現状です。 今回の中国政府の方針は三浦工業にとっては中国進出へのかなり前向きな後押しになると考えられます。 実際に三浦工業は成長戦略として、現在シェア1%未満の中国へ進出を図るべく、中国六省と技術交流するなどシェアを伸ばそうとしています。
三浦工業の株価の展望
現在の三浦工業の株価は、今年に入ってからの二度の決算で大幅な増益を発表していることで、上昇を続けています。今年の3月中旬は2400円台をつけていた株価が現在は3500円まで伸びています。これは①決算が好感されたこと②海外市場での成長性を織り込んでいると考えられます。
現状の株価水準はPERが21.2倍で、これは同業のボイラー専業メーカーの昭和鉄工(PER23.72倍)、川崎冷熱工業(PER21.8倍)と比較すると、それほど高い水準になってはいません。これはボイラー業界全体が海外市場の伸びで成長性があると考えられているためだと思われます。 従って①実際に海外、特に中国への進出が伸び、②中国でのガス焚きボイラーのシェアを伸ばすことが出来、③高収益率を誇るメンテナンス事業を展開していければ、売上高、利益共にかなりの成長が見込まれることを考えると、現在の株価水準はそこまで割高とは言い難く、引き続き有望な銘柄として注目を集めそうです。
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