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(写真=PIXTA)

マイナンバー制度開始に伴い、管理する情報が増えてしまった、と憂慮する法人関係者も多いだろう。しかしマイナンバーはそもそも各種手続きの効率化を目的として制定されるものであり、取扱い方次第では会社・法人を成長させることが可能だ。今回は法人版マイナンバーとも称される法人番号に関わる基礎的な知識を解説すると共に、その有効的な活用法について紹介する。各社・各法人関係者の方々は、早期対応を検討してみてはいかがだろう。


マイナンバー法人番号とは

マイナンバーは正式には個人番号と呼び、これに対し法人や団体には法人版マイナンバー「法人番号」が割り当てられる。数字13桁からなるもので、国税、地方税、社会保険などの手続きに使われる。個人番号と同じく番号法・マイナンバー法の規定に基づいて管理されるが、一般にも公開される、一部組織は特定桁の数字が固定されているなど、個人番号とはやや趣が異なる(例:国会機関は12桁~7桁が000011であるなど)。

割り当てられた法人番号は、国税庁法人番号公表サイトにて検索・閲覧することができ、サイト上では基本3情報として法人番号、法人等の商号又は名称、法人等の主たる事務所の所在地が公表されている。

基本3情報それぞれから各法人等組織を検索できるようになっており、基本3情報はそのままダウンロードして管理に活用することも可能だ。

マイナンバー、会社にとってのメリット・デメリット

法人番号の活用により、組織内外における手続きや情報管理を効率化することができる。例えば企業が補助金等の申請を行おうとするとき、これまでは各役所単位で企業情報を提出しなければならなかった。これが法人番号導入後は、申請時に一度企業情報を提出すれば、各役所で法人番号を通じて共有管理されるため、二度手間の無駄が省けるのだ。組織内では、部署や部門ごとに取り扱っていた取引先企業情報について、法人番号によって一元化されるため情報が必然的に集約されることになる。

デメリットは、導入作業に手間がかかるという点だ。加えて、規模がそう大きくない組織や元々管理が統一されていた組織ではさほど恩恵を感じられないといった点も挙げられる。ただ、これについては作業の手間と比例する部分でもあり、メリットが薄く感じる組織はデメリットも相応に抑えられるのではないだろうか。

マイナンバー法人番号の有効活用法

前述の通り法人番号は、これまで各組織が取り扱ってきた商号や名称等を一元化することのできる制度であるから、有効活用するためには扱い方を整備しなければいけない。一時的な対処を検討するのではなく、どういった情報が法人番号に置き換えられるのか、書類上の処理はどのように変更なされるのかなど、研修を行うなどして根本的に見直すべきだろう。この辺りも含めて導入作業にはやはり手間がかかるが、個人番号の取扱規定などと合わせて見過ごせない対策だ。これを怠ると法人番号の有効活用ができないばかりでなく、個人番号を管理する上でさまざまなリスクが生じてしまう恐れがある。

番号管理が不十分だと起こる危険

個人番号は取り扱いに際して発生するリスク

局面 リスクの例
取得・入力 漏えい、盗難、減失・毀損、改ざん、入力ミス
移送・送信 誤送信、盗聴、不達
利用・加工 不正出力、不正アクセス、目的外利用
保管 紛失・破壊、ウイルス感染
委託・提供 目的外利用、不正入手、契約上の諸問題
廃棄・消去 未処理による放置、再利用

挙げたものはあくまでも例であり、これ以外にも個人番号にまつわるリスクは多数存在する。特に気をつけなければいけないのが目的外利用についてだ。各個人が番号法で定められている利用範囲を正しく把握すると共に、組織内で共通の取扱規定を整備することで最大限対処していこう。

マイナンバー取扱規定の作り方

取扱規定を作るには、まず前提として前述のリスク例を認識し、それらが業務を行う上で具体的にどの局面で発生するのかを想定しなければいけない。考え得るリスク発生局面について、すべてに対して網羅的に正しい対処を考える。これをルール化すれば、それがそのまま取扱規定となる。

文章化・ルール化において具体的なアドバイスを求める場合は社労士や弁護士といった専門家を頼るか、あるいはネット上で提供されている規定のひな形を参考にしても良いだろう。ただし、面倒だからとすべての手続きを外部の人間に任せるべきではない。特に数名から数十名程度で構成される比較的小規模な組織ならなおさらで、組織内に最低限の知識を持ち合わせた人間が育成されなければ、日常的に起こり得るリスクへの対処が不十分になってしまう。

マイナンバーは便利な道具である

冒頭でも触れた通り、マイナンバーは本来業務や手続きの効率化が目的で制定されたものだ。正しく扱えば非常に便利な道具となり得るが、しかし処理がおざなりになれば相応のリスクが発生する。会社・法人といった組織の成長を促す意味でも、これを有効活用できるようしっかりと対策を講じていってほしい。

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