想定為替レート
(写真=PIXTA)

ドル・円相場がトランプ次期米大統領の政策期待を背景に大きく上昇し、日本の輸出企業の前提レートとのカイ離が広がっている。3月期決算の会社などは、下期を1ドル=100円やそれ以下の円高水準に設定したケースも少なくない。同110円に迫る足元の円安が継続した場合、業績押し上げにつながるだけに、各社の状況をチェックしておきたい。

米大統領選後に円安加速

為替のドル高・円安が利益面で追い風になる2、3月期決算企業約150社の前提レートを集計した。下期の平均は1ドル=約101円で、トヨタ自動車 <7203> や日立製作所 <6501> をはじめおよそ半数の会社が同100円を想定している。

各社の上期の営業利益(一部経常利益など)は合計で約5.5兆円となり、前年同期を2割強下回った。上期の為替レートが平均で1ドル=約106円と前年同期より16円程度円高だったことで、収益が大きく押し下げられた。

一方、一段の円高を予想する下期の業績計画は計5.1兆円(前年同期比18%減)となった。為替の動きを踏まえて、従来の収益見通しを上期決算発表時に下方修正した企業が多い。

ところが企業の慎重姿勢に反し、為替市場ではトランプ氏の大統領当選後に予想外の円安が進んでいる。仮に下期の平均レートが1ドル=110円になると、計画に対して計7000億円近い利益の上ブレ要因につながる計算だ。

集計した主な企業の下期為替前提と、同利益に対する円安インパクトをまとめた。足元の円安進行で株価が大きく上昇しているものも少なくないため、今後の個別銘柄の値動きと為替動向に合わせ、投資に活用してほしい。

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エフテック95円、イワキポンプも98円

下期の前提レートが特に保守的なのは、1ドル=95円(通期は100.2円)とするエフテック <7212> 、98円(同非開示)のイワキポンプ <6237> 、99円(同102.2円)のオークマ <6103> などだ。

例えばエフテックは、1円の円安が年間の営業利益を1億円程度押し上げる。これを半期ベースに換算すると、1ドル=110円で推移した場合に下期の連結営業利益予想(35億円、前年同期比26%減)に7億円超の上ブレ余地が生まれる。事業環境を精査する必要もあるが、心強い材料であることは間違いない。

このほか、為替前提が保守的な上、円安メリットが大きく、なおかつトランプ・ショック後の上昇率が比較的小さい銘柄は、古野電気 <6814> やアドバンテスト <6857> 、アンリツ <6754> などが挙げられる。(11月18日株式新聞掲載記事)

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