景気減速がささやかれるシンガポールだが、各国の家計資産を調査したクレディ・スイスの最新レポートから、「成人個人の総資産が最も多い国」で世界7位の座を維持していることが判明した。

家計資産総額の世界ランキングでは昨年の8位から10位に転落したものの、アジア圏ではトップ。2016年の成人個人の総資産額は27万7000ドル(約3061万円/1.4%増)。今後5年間は年間2.2%上昇し、30万9000ドル(約3490万円)に達すると見こまれている。家計資産総額は1兆1000億ドル(約124兆2450億円/2.9%増)で、今後5年間の成長予想は年間3.5%となっている。

人材育成強化で資産創出環境の向上期待

資産額1万ドル(約113万円)以下の層の世界平均が73%であるのに対し、シンガポールではわずか18%と所得格差が極めて低い。10万ドル(約1130万円)以上の資産を所有する成人は、2000年と比較すると21%も増え、現在は50%を記録している。逆にそれ以下の層は79%から50%に減少した。

資産総額5000万ドル(約56億4750万円)以上の超富裕層はそれを上回る14.2%という驚異的な速度で成長し、現在885人。ミレニアル世代は15万人(2%増)で、総資産額は5410億円(約61兆1060億円)。今後5年間で3万5000人の増加が見こまれいるため、資産額もさらに拡大すると予想される。

平均個人負債額は、総資産の17%に値す5万4800ドル(約619万円)。これらの資産には不動産から貯蓄まで、あらゆる資産が含まれている。

これまで急激な経済成長でほかのアジア諸国を引き離してしていたシンガポールだが、今年第1四半期から失業率が徐々に上昇。第3四半期の成長率は前期比(年率換算)4.1%減など、低迷の兆しが見られ始めた。特に製造業での落ちこみが2桁に達し、サービス行も3期連続の後退となっている。

景気後退の原因として、中国経済低迷の影響とともに外国人労働者の受けいれ体制などが挙げられているが、人材不足に悩むシンガポールにとって、外国人労働者の制限は経済成長に決定的な終止符を打つことを意味する。

打開策として自国の人材育成に目が向けられているものの、低迷を見こした大手企業がインドネシアやマレーシアといった低コストな国への移動を検討していることなども報じられており、今後の資産創出環境の変化が懸念されている。(ZUU online 編集部)