韓国経済
(写真=PIXTA)

韓国株が停滞している。米大統領選でトランプ大統領が勝利、世界の株式市場は「リスクオン」ならぬ「トランプオン」とも言うラリーが始まった。11月のNYダウは5.4%の上昇となり史上最高値を更新、日経平均は5.1%の上昇で2016年大発会以来の高値をつけ、上海総合指数は4.8%の上昇で1月7日以来の高値だ。一方の韓国KOSPI指数は1.2%の下落、11月末は9月につけた年初来高値から7%ほど下の位置にある。もちろん朴槿恵(パク・クネ)大統領のスキャンダルの影響もあるが、韓国経済が行き詰まりはじめたことが根底にありそうだ。

韓国経済はスローダウン顕著

韓国のGDP成長率は2010年代に入り低下傾向が目立っている。実質GDPは2010年の6.5%増をピークに2?3%台で推移しており、OECD予想では2016年は2.8%増、2017年は2.6%増と回復の兆しはない。OECDの世界経済成長予想は2016年が2.9%増、2017年が3.3%増であり、韓国経済は世界平均より下になる。

2010年代前半まではサムスン、現代自動車などが世界に向けて拡大していたが、後半になると主力企業の不振、海運・造船などの構造不況、さらに政治不安までが重なって危機感が広がっている。韓国はもはやアジアにおいて高度成長国とは言えない。

「コリア・ディスカウント」株価が相対的に過小評価

パク・クネ大統領のスキャンダルで韓国企業は「コリア・ディスカウント」に苦しんでいる。本来、「コリア・ディスカウント」は北朝鮮の核問題で韓国企業の株価が相対的に過小評価されるなど、国家レベルでの問題で企業評価が低下することを指している。

国政が事実上停滞する中、企業トップが相次いで検察に出頭を求められており、贈賄罪が適用される可能性もある。韓国企業が配当や投資に資金を回さずに資金を収賄に使っているとすれば、外国人投資家が不利益をうけている可能性が指摘されている。また、企業の損益計算書やバランスシートを100%信じてもいいものかと現地でも報じられている。

実際、11月1-29日に韓国株式市場では外国人の売り越し額が1.1兆ウォン(約1000億円)に達した。5大財閥の関係者は「韓国が『崔順実(チェ・スンシル)ディスカウント』に陥った格好だ」と漏らしている。

韓国経済はパラダイムシフトが必要

11月22日、ソウル大のイ・グン教授など経済専門家43人が『2017年、韓国経済大展望』 という本を出版、「韓国資本主義の危機」として、韓国経済に対する診断と解決法を提示した。

イ・グン教授は、「2017年下半期から韓国経済が長期低成長基調に本格進入するだろう。2017年は危機に瀕した韓国経済にとって体質改善できる最後の機会だ」としている。「新しい成長動力の確保は、政府が無条件に資金を注ぎ込む既存の方式では期待できない」として「米国のようにベンチャー企業に対する果敢なストックオプション付与、差別議決権の許容を通じた経営権安定、長期株式保有者に対する誘引策提供、大企業出身者の創業誘導が必要だ」としている。

イ・ジュンヨプ政策補佐官は、「韓国経済は、数年間にわたり政府の追加補正予算、金利引き下げ、不動産活性化に依存してかろうじて耐えてきたが、2017年下半期からは長期低成長基調に本格進入して限界に直面するだろう」として「2017年は韓国経済の体質を変える最後の機会になるだろう」という見通しをだしている。来年の大統領選挙で経済パラダイムの転換が核心問題として浮上するだろうとし、所得不平等の緩和と包容的成長を提示した。

また、中央大のリュ・トクヒョン教授は「大統領選挙で経済民主化と同伴成長が核心問題として提起されるだろう」として「構造調整は特定不良産業に限定された問題ではなく、金融と産業を包括する経済全体に対して必要だ」と指摘している。

外需に頼らざるを得ない韓国の悩み

韓国の本質的な問題点は、人口が5000万人と少なく、国土も狭く天然資源が乏しいため、外需に成長を求めざるを得ないことだ。貿易依存度は90%を超える。

韓国の高度成長は5大財閥が牽引してきた。5大財閥系列企業の売上高がGDPの70%以上を占めている。特にサムスングループのウェイトが高く、GDPの20%程度を占めている。サムスングループの代表の三星電機は、時価総額がトヨタを超え、韓国株式市場の時価総額の約3分の1を占めている。

先端技術では日本、人件費などコストの安さでは中国に勝てず、「日中サンドイッチ論」がある。1990年代後半のアジア通貨危機以降の経済回復は、半導体やインターネットといったハイテク部門が牽引した。その結果、貧富の差が拡大傾向にある。 こうした問題点をパラダイムシフトで克服していかなければ、韓国の将来はない。

パク・クネ大統領の父親は朴正煕(パク・チョンヒ)だ。1965年に日本と国交を樹立し、「漢江(ハンガン)の奇跡」といわれる経済成長を行った人だ。パク・クネ大統領の退陣は、韓国は父親のとった成長路線から完全に脱却しなくてはならないということを示唆しているのかもしれない。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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