年金,払えない,払ってない
(写真=Thinkstock/GettyImages)

2016年4月に厚生労働省が発表した報道資料によると、2015年度の年金保険料の納付率は61.2%だった。国民年金には追納(後払い)制度があるので、今後、2015年度の納付率は若干増加することが予想はされるものの、期限内に保険料を支払っている人はわずか6割、残りの約4割の人は保険料を支払っていないもしくは遅れて支払っているということが判明したのだ。

実際にはどの程度の未納者がいるのか、また、年金の保険料を滞納し続けるとどうなるのか、保険料の免除や猶予にはどのようなものがあるのかについて解説する。


こんなにいる、年金保険料未納者

年金の保険料は、何らかの理由で支払いの免除あるいは猶予が承認された場合は、10年以内の未納分なら追納(後払い)することができる。

ただし、免除・猶予が承認された期間の翌年度から起算して3年目からは追納加算額を支払わなければならないため、追納しようという人は2年以内に実施することが多い。

そのため、年度中に支払った人の割合だけでなく、少なくともその後2年の納付率にも注目することが必要と言えるだろう。

同じく2016年4月に厚労省によって発表された報道資料によると、2013年度の年金保険料を期限内に支払った割合は60.9%であったが、2014年度末には67.2%、2016年2月末には69.8%にまで増えた。

同じように2015年度の納付率も2016年2月末時点では61.2%だが、2年後には70%程度にまで増えることが予想される。

とは言うものの、約3割の未納者がいるという現実に変わりはない。20歳以上60歳未満(手続きを踏めば65歳まで延長することができる)の国民全員が支払うはずの年金保険料だが、実際はこれほど多くの人が未納だったのだ。

保険料を滞納し続けるとどうなるの?

この未納の実態を知り、自分も支払わなくてもいいのではと考える人もいるかもしれない。

厚生年金対象者やその被扶養者(国民年金第3号被保険者)ならば、給与から保険料が天引きされるため、支払わないという状況にはなりにくい。それ以外の人は、約3割の人が支払っていないという現実をどのように捉えるのだろうか。

国民年金保険料の支払いは、自由意思に任されてはいない。滞納すると督促状が来るだけでなく、滞納し続けると延滞料金が課せられ、滞納者ばかりでなく、その世帯主や配偶者の財産を差し押さえられることがあるのだ。

2014年度分において、指定期限内に納付しない場合には延滞金と財産差し押さえを実施するということを示す「督促状」が送付されたケースは4万5370件、「財産差し押さえ」が実行されたケースは1万3324件だった。

未納者の多くは、安穏とした状態で年金保険料を納付していないのではなく、延滞金の請求や財産差し押さえの不安を抱えながら未納付を続けざるを得ないのかもしれない。

自分の将来のためにも不安を解消し、支払えない場合には救済的な制度があることを知り、いまできる対策を自らとりたいところだ。

免除、猶予にはどのようなものがあるか

年金保険料の支払いの義務を知っていたとしても、金銭的事情や身体的・精神的状況からどうしても払えない人には、そのケースに応じて保険料の支払いを免除・猶予してもらうことができる制度がある。それらについて見ていこう。

・保険料免除制度
収入が低く、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下であったり、失業していたり場合、本人が申請書を提出して承認さると全額、4分の3、半額、4分の1の4種類のいずれかの割合で保険料納付が免除される。

なお、これを受けるためには本人・世帯主・配偶者各々の所得審査がある。

・納付猶予制度
本人と配偶者の前年所得が一定額以下の場合には、20歳以上50歳未満に限り、本人が申請書を提出して承認されると、保険料の納付が猶予される。なお、これを受けるためには本人・配偶者各々の所得審査がある。

・学生納付特例制度
学生の場合は、在学中は納付を猶予してもらうことができる。このときは、学生本人の所得審査が必要になる。

・配偶者からの暴力による特例免除制度
配偶者の暴力により住所が異なる場合は、配偶者の収入にかかわらず、本人の前年度所得が一定以下ならば、本人が申請書を提出することで保険料の全額あるいは一部が免除される。しかし、世帯主(父母などの第三者)が所得審査の対象となる場合がある。

また、配偶者と住居が異なることなどの申出書や住居地が確認できる書類、初回の申請に限り婦人相談所または配偶者暴力相談支援センターなどの公的機関が発行する「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」が必要となる。

免除・猶予の申請はなぜ大切なの?

免除や猶予の申請をせずに年金を未払いにしておくと「滞納扱い」となり、督促状が自宅に郵送されたり、財産を差し押さえられたりするなどのペナルティーが科せられる。

逆に、きちんと申請をすれば、保険料免除や納付猶予になった期間は年金の受給資格期間に算入される。どうしても年金保険料の支払いが困難な時は、年金事務所に問い合わせ、ぜひ適切な手続きを実施するようにしよう。(ZUU online 編集部)

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