マクドナルド,復活
(写真=Thinkstock/Getty Images)

マクドナルドがここにきて息を吹き返している。45周年キャンペーンとして「チーズカツバーガー」や「かるびマック」が登場した11月は、既存店の売上高が前年同月比で11.3%増、客数は同8.0%増となり、16年は年初月から既存店売上高が、前年同月比で2ケタの伸びを維持している。

2014年7月に起きた中国の食肉加工会社の期限切れチキンナゲット販売、2015年1月の異物混入問題によりマクドナルドの信用は失墜した。期限切れチキンナゲットの件が明るみになって以降、既存店の売り上げは15年7月まで13カ月連続で前年同月比割れとなり、深刻な客離れに苦しんできた。

不祥事が相次ぎ売上が落ちた反動の一面もあるが、地に足をつけた回復は反動の一言で語れない。何が鮮やかな復活をもたらしただろうか。

再建の礎は「母親目線」の品質管理

13年8月にカリスマ経営者だった原田泳幸前CEOからバトンを引き継ぎ、米マクドナルドから鳴り物入りで登場したサラ・カサノバCEOだったが、経営を揺るがす問題への対応、底打ちが見られなかった売上の落ち込みなど、課題が山積。経営の危機の最中には、退任論も飛び交ったが、カサノバ氏は難局を乗り切った格好だ。

カサノバCEOが自ら取り組んだのは、食の安全・安心の信頼を失っていたマクドナルドを、母親目線から食の品質管理を改善するプロジェクトだった。

その一環として、食品についてシビアな視点を持つ母親ならではの発想を取り込むべく、全国47都道府県の店舗を訪れて352人の母親とミーティングを実施。「タウンミーティングwithママ」と呼ばれた、このカサノバCEOと母親たちの意見交換から、主要原料の原産国・最終加工国の情報をwebサイトに分かりやすく表示を改善したほか、「手軽に野菜を摂りたい」という要望をくみ取り、野菜をたっぷり使ったスープメニューを導入するなど、顧客の声をサービス向上に結び付け、マクドナルド再建の礎とした。

話題のバーガー続々導入 店舗の設備投資も積極化

また、事業戦略として、「よりお客様にフォーカスしたアクション」「店舗投資の加速」「地域に特化したビジネスモデル」「コストと資源効率の改善」の4つを柱としたビジネスリカバリープランの方針に基づき、様々な取組も展開した。

特に、メニューの展開は客の心をつかむことに成功した。「ビッグマック」をサイズアップした「グランド ビッグマック」「ギガ ビックマック」は、その圧倒的なボリューム感が話題となり、SNSでも広く拡散され、人気を呼んだ。また、45周年を記念した「1955 ステーキアメリカ」など期間限定商品を季節ごとに導入し、来客頻度アップに効果的に機能。

また、ハンバーガーに加え、スイーツメニューも充実させ、和歌山県産のブランド桃である白鳳を使用した「三角ももクリームパイ」などの限定メニューも、幅広い世代から支持を集めた。

さらに、目にみえる変化が最も顕著となる店舗への設備投資にも積極的に取り組む。16年上半期は211店舗の改装に着手。18年度末までには、90%以上の店舗の改装計画も明らかにしており、シンプルなデザインが象徴的だった店内を、顧客のニーズや街の雰囲気に合わせたデザインを施し、洗練されたモダンな空間を提供することで来店を促進する狙いだ。

今後の注目は「パートナー企業とのコラボ」

店舗改装などハード面での改良に加え、ソフト面でもマクドナルドFREE Wi-Fiを導入する店舗では、パートナー企業の1つであるNetflixが配信する映画などを無料で視聴できるサービスがスタート。マクドナルドWi-FiからNetflixなどのパートナー企業の無料アプリにアクセスすると、クレジットカードの登録などのデーター入力をせずに動画が楽しめるという。しかし、マクドナルドFREE Wi-Fiは60分までしか接続ができないので注意が必要だ。

映画視聴サービスに先駆けて実施した、ポケモンGOとのコラボでは、マクドナルド全店が「ジム」や「ポケストップ」として、ゲームに必要なアイテムを入手できたり、キャラクターが対戦できたりするスポットになった。このサービスを始めた16年7月は、既存店の売上高が前年同月比26.6%、客数が同9.8%それぞれ伸びており、ポケモンGOによる寄与度は判明しないものの、業績にインパクトを与えたことは確かだ。ポケモンGOに続き、パートナー企業とのコラボで、客足を引き付けることができるか、注目が集まる。

日本マクドナルド創業45周年の記念の年、業績の回復にひとまず胸をなでおろしているところだろう。しかし、足元では、節約志向が高まるなど、消費マインドにも変化の兆しが出始めるなか、今後も顧客とのコミュニケーションを密にして、V字回復を安定させることができるか。(ZUU online 編集部)

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